本文に移動

[社説]22日間の選挙運動、「ろうそく大統領選挙」の意味忘れずに

登録:2017-04-17 01:19 修正:2017-04-17 08:05
「セウォル号3周年記憶式」が開かれた今月16日午後、京畿道安山市檀園区のセウォル号の犠牲者合同焼香所を訪れた各党の大統領候補らが献花している。左から正しい政党の劉承ミン、正義党の沈相ジョン、国民の党の安哲秀、共に民主党の文在寅候補=安山/共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 19代大統領選挙の公式選挙運動が17日から始まった。候補らはこれから22日間にわたり、各種遊説とテレビ討論などを通じて有権者に最後の選択を訴えかける。大統領の弾劾から始まった今回の大統領選挙は以前とは全く異なる様相で展開されている。保守派が有力候補を立てられず、野野対決構図が形成され、地域構図も薄れ、保革のイデオロギーの対立も弱体化した。何よりも今回の大統領選挙は「ろうそく大統領選挙」という特徴を帯びている。延べ1700万人が参加して韓国社会を根本的に変えることを求めたろうそくデモの延長線上に、今回の大統領選挙がある。

 選挙運動初日の午前零時、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補は、動画メッセージで大統領選挙での勝利に対する覚悟を明らかにし、朝には大邱(テグ)に向かった。国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補は同日午前零時、セウォル号惨事のような事故のない安全な大韓民国を作るという趣旨から、仁川港海上交通管制センターを訪れた。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補を除き、文・安候補や正しい政党の劉承ミン(ユ・スンミン)候補、正義党の沈相ジョン(シム・サンジョン)候補は16日午後、安山(アンサン)合同焼香所で開かれた「セウォル号惨事3周年記憶式」に共に出席した。

 これまで大統領選挙戦が有力候補たちを中心に熾烈に展開され、“ろうそく(集会の民心)”が消え、権力獲得ゲームに変質されたという声が高まっている。実際、選挙戦では市民らが提起した政経癒着の根絶、検察改革、財閥改革、放送改革、格差の解消など、ろうそく集会の議題は姿を消し、政治家が票を獲得するために所かまわず手を延ばす形に流れたと言っても過言ではない。文在寅・安哲秀候補は、ゆれ動く保守票を狙って、THAAD配備問題で一歩後退するような態度を見せた。財閥改革や最低賃金問題など、ろうそく集会で提示された課題をめぐる政策討論はほとんど見られず、相手に対するネガティブ宣伝が続いている。

 市民が直接行動で参加する集会と、有権者として投票する選挙はそれぞれ民主主義の代表的制度だ。選挙になると、市民たちが提起したいくつかの問題は、特定候補と主要公約を中心に集約される。しかし、民主主義を念願する市民たちの献身によって勝ち取ったろうそく大統領選挙が、保守票を意識した主要候補らが先を争って右派寄りになり、互いを誹謗して敵対心だけを燃やす方向に流れては困る。

 文在寅・安哲秀候補は今からでも市民らが提起した改革課題を如何に効率的に達成できるかを議論して競争する政策対決を行わなければならない。大きな枠組みから、いかに民主改革勢力の力を結集し、次期政権で改革課題を達成できるかに対する腹案を打ち出し、評価を受けるべきだ。やっとの思いで成し遂げたろうそく大統領選挙を再び政治家だけが戦う“彼らの大統領選挙”にしてはならない。残りの22日間、両候補は厳しい寒さにもかかわらず、大韓民国の未来のためにろうそくを掲げた市民たちの念願を忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/790930.html 韓国語原文入力:2017-04-16 18:12
訳H.J(1538字)

関連記事