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[社説]韓国政府の安易な対応で高じる中ロのTHAAD反発

登録:2016-07-11 07:00 修正:2016-07-11 07:26
トーマス・ベンダル米第8軍司令官(左)とリュ・ジェスン国防部国防政策室長(右)が8日、ソウルの国防部で在韓米軍のTHAAD配備決定を発表している=フォーカスニュース提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が「高高度防衛ミサイル」(THAAD<サード>)を朝鮮半島に配備することにした決定の最も大きな問題は、北朝鮮の核問題の解決をめぐって「北朝鮮と韓米日中ロ」の対立で構築されていた北東アジアの地域構図を一挙に「韓米日・朝中ロ」の新冷戦体制に転化させたことだ。これに伴って北朝鮮の核問題に対する解決の見込みは遠ざかり、二大勢力の軍備競争ないし対決の渦に朝鮮半島は巻き込まれて行く危険が高まった。

 しかし政府は中ロに事前通報をしたという事実と北朝鮮の核・ミサイルの威嚇に対応する自衛次元の決定という言葉だけ繰り返している。中ロの反発は具体的で現実的な威嚇として現れているが、外交安保当局は今頃になって周辺国の反発をなだめる策を探すとして後始末にあわてている。このように最大の外交・安保の危機状況が最近広がっているのに、一連の展開に最も責任ある大統領は不安がな国民に対して一言の説明もない。客観的な安保状況も危機だが、大統領をはじめとする政府当局の無責任な姿勢はなおさら危機だと言わざるを得ない。

 中国の王毅外交部長は9日、THAAD配備について「いかなる弁解も無意味だ」と述べた。韓国政府の説明は受け入れられないというわけだ。特に韓国を名指しして「韓国の友人たちはTHAAD配備が本当に韓国の安全、朝鮮半島の安定的平和の実現と核問題解決に有利に役立つかを冷静に考えることを望む」としている。韓国政府が願う北朝鮮の核の解決に関して中国の協力を期待するなという警告と聞こえる。中国の国防部も地域戦略的バランスのために必要な軍事措置を検討するという談話を発表した。これは全て中国外交部がすぐ明らかにした「強烈な不満と断固たる反対」に続く行動と見ることができる。ここでさらに一歩進んで中国メディアは韓国に対して政治経済的報復をすることを求めるなど、韓中関係は急速に悪化する兆しがあちこちで現れている。ロシアもTHAAD配備はアジア太平洋地域の戦略的バランスの崩壊と見て、軍事的対応措置とともに朝鮮半島問題に対する対応の仕方を変えることを声高に訴えている。

 さらに心配されるのは中ロとの政治的な緊張が必然的に経済などの民間分野に移って行くという事実である。特に2015年基準で韓国の輸出の26%、輸入の20・7%を占める中国の小さな動きにも我々の経済は途方もない衝撃を受けかねない。

 このような状況の緊急性に対して政府の態度はあまりに安易である。これまでTHAAD配備に備えて十分な時間を置いて中ロを説得してきたのでもなく、配備決定以後特使などを派遣して積極的に説明しようとする姿勢も見い出せない。何よりこの日、すべての最高責任者である大統領の姿が全く見られないという事実は「外交安保無能政権」の実状をそのまま示している。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016/07/10 16:04

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/751668.html 訳T.W

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