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[社説]方向を誤ったオバマ大統領の広島訪問

登録:2016-05-28 01:58 修正:2016-05-28 07:12
バラク・オバマ米大統領が27日午後、日本の広島平和記念公園を訪れ、原爆犠牲者慰霊碑の前に献花している。米国現職の大統領が1945年8月6日に最初の原子爆弾が投下された広島を訪れたのは初めてのことだ=広島/ AP聯合ニュース

 バラク・オバマ米大統領の27日の広島訪問は、その内容に問題がある。原子爆弾を使用した唯一の国の大統領が被爆地域を初めて訪問した真摯な思いは理解できるが、方向の設定を誤ったからだ。日本内外の平和勢力と日本の帝国主義による被害国の反発が大きくなる可能性が高い。

 まず、オバマ大統領は、原爆投下で罪なき民間人が多大な被害を受けたことについて、明確に謝罪していない。これは、自らが提唱した「核兵器のない世界」の構想とも矛盾する。特にオバマ大統領が広島平和公園内にある韓国人慰霊碑に足を運ばなかったのは言い訳の余地がない。韓国人被爆者は日本の植民地支配と原爆の被害を同時に受けた、まさに最も罪とは無縁の民間人だ。にもかかわらず、慰霊碑への参拝を避けたのは、長い間、韓国人被爆者の存在自体を認めなかった日本政府の理不尽な態度とあまり変わらない。オバマ大統領は、この日の式典に日本人被爆者数人を参加させておきながら、現地を訪れた韓国人原爆被害者たちとは会おうともしなかった。

 オバマ大統領は安倍晋三首相と共に広島を訪れたことについて、「過去の敵が最も強力な同盟国になれるという点で、世界に和解の可能性を示している」と述べた。今回の訪問の主な目的が日米同盟の強化にあるということだ。安倍政府は就任後、歴史認識問題に対する責任を回避しており、今や平和憲法の廃棄を図っている。米国がこのような事実を無視し、同盟の強化を優先させると、アジア地域の平和と協力がさらに困難にならざるを得ない。安倍政権は早くも今回の訪問を「被害者日本」のイメージ作りに活用している。

 核兵器のない世界の構想には歴史的な正当性がある。しかし、この構想を進展させるためには、広島訪問などの象徴的なイベントだけではなく、具体的な行動が伴わなければならない。米国が何よりも率先すべきなのは、北朝鮮の核問題を解決するための努力だ。米国など主要7カ国(G7)は同日、北朝鮮の核実験とミサイル発射を「最も強い表現で非難する」と発表したが、非核化を実質的に進展させる提案はなかった。

 核兵器の廃絶と歴史認識問題に対する日本の責任の糾明は、韓国の主要な外交・安保事案でもある。ところが、朴槿恵(パククネ)大統領は日本に行く代わりに、特別な懸案もないアフリカを歴訪している。米国と日本を批判することがかえって恥ずかくなる状況だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-05-27 19:07

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/745766.html 訳H.J

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