ハンギョレは、韓国警察がSF映画の『マイノリティ・リポート』を連想させる「ビッグデータに基づく犯罪分析プログラム」の開発に乗り出したという事実を初めて報道した(http://japan.hani.co.kr/arti/politics/23255.html)。この映画は、警察が犯罪を予測し、潜在的な犯罪者を事前に断罪する未来社会の姿を描いた。このようなプログラムの開発と運用には、個人情報を不正に無断利用する恐れがある。そこで、開発に先立って社会的な議論を行わなかったのは大きな問題だと指摘した。これに対し、警察は「違法な個人情報の利用は行わない」と断言した。また総額50億ウォン(約4億8800万円)の多額の予算を投入して開発するプログラムの機能について、個人情報を侵害するほどすごいものになるわけがないと、かなり低い自己評価を示した。しかし、警察の釈明は辻褄の合わないことだらけだ。
まず、警察担当者は「このプログラムは捜査だけに使われる」と強調した。現行の個人情報保護法は、誰でもデータ収集の際の用途以外に(データを)利用することを禁じているが、「犯罪の捜査に必要な場合」など、いくつかの例外を設けているため、このような釈明をしたものと見られる。
しかし、これは警察が当初発表した事業内容とは程遠いものだ。この事業の細部課題は4つあるのに、捜査のためのソリューションは一つだけだ。残りの3つは強盗および窃盗、性的暴力などの特定の犯罪の予測、犯罪発生の危険地域の予測、ビッグデータプラットフォームだが、すべての捜査ではなく、犯罪予測と予防活動だ。事業提案書に公告されている通り、過去の捜査や裁判記録データ(キックスデータ)や民間のウェブデータなどを活用すれば、いずれも違法になる。
これに対し、警察は犯罪予測・予防関連の3つの課題について、「既存の統計資料の分析程度で、個人情報は利用しない」と釈明した。しかし、事業公告には「オントロジー分析」のような高難度のビッグデータ分析を行うことも盛り込まれている。あるビッグデータの専門家は、「オントロジー分析とは捜査記録間の関連関係などを分析するもので、捜査資料を見るという意味だ」と述べた。
警察は、今回の事業推進が性急ではないかとの指摘に「問題がないかどうか研究してみようという趣旨」だとした。しかし事業公告には、開発に参加できる者の条件として、技術成熟度(TRL)を7〜8段階と明示した。これは最高9段階(量産可能なレベル)のすぐ下の段階で、実際の状況から試験まで通過するレベルだ。
警察は、過去のいくつかの部処が断続的に進めていた治安科学技術研究を主導するとして、最近力を注いでいる。ビッグデータに基づく犯罪分析はその代表的な事業で、社会的議論は避けられない。警察は後になって辻褄の合わない釈明に追われるのではなく、人権を考慮し、社会的議論を経て、国民的共感を得るのが先決課題だと思われる。
韓国語原文入力: 2016-02-05 19:3