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[コラム] 変質するアメリカが再考を迫る韓国の対米依存

登録:2015-07-31 00:17 修正:2015-07-31 07:34

 幼かりし時、私にとってアメリカは驚異的な国だった。父は先の短い両刃のカミソリを使っていたが、時々アメリカ製だと自慢したりした。 朝鮮戦争直後に軍に服務した父は、それを米軍の部隊で得たものだと言った。 30年以上もそれを使っているのを見て、どうすればあんな堅固に作れるのか不思議に思った。 学校では“美国(米国)”という漢字で書く国として習ったので、一層格別だったはずだ。

 しかし、“1980年の光州(クァンジュ)”を体験して、アメリカは私にとって薄情な国になった。 銃刀で多くの良民を殺した軍事独裁政権の行為を黙認したからだ。 大学に入って私は韓国が対ソ連封鎖の忠実な前進基地の役割をすることがアメリカの最優先国益であり、アメリカはこのような原則に則り対応したということを悟った。 しかし、私は反米主義者ではなかった。 80年代中盤、ソウルのある大学のキャンパスで初めて「ヤンキー ゴーホーム!」のスローガンが響いた現場にいたが、その主張を完全に支持したわけではなかった。 中日の狭間で生存するためには、アメリカをある程度活用しなければならないという考えからだった。

 9・11テロとイラク戦争を見て、アメリカは絶対的な国家として私に迫った。 9・11テロ当時、新聞社の国際部で夜勤当直していて、イスラム聖戦の極端さに開いた口が塞がらなかったものの、以後はイラク戦にのめりこむジョージ・ブッシュ政権の一方主義的行動にも驚いた。 アメリカは結局、イラク戦の名分だった大量殺傷兵器開発の証拠を見つけることはできなかった。 アメリカには情報判断ミスによる単純ミスに過ぎなかったが、イラク国民にとっては巨大な災難だった。

 3年のワシントン特派員生活を終えて、アメリカという存在を考え直してみた。アメリカが全般的に先進民主社会であることは明らかだが、次第に危険な国になりつつあるというのが私の結論だ。

 根拠は二つある。 一つはアメリカが全世界に自由を伝播させる義務を負う「アメリカ例外主義」が、想像以上にはるかに深く、そして広く米国社会に広がっていることを発見した。 バラク・オバマ大統領が属した民主党進歩派は多少違うという期待は純真すぎた。 オバマ大統領は対シリア地上戦は拒否したが、昨年のイスラム国(IS)撃退戦には足を踏み入れた。 彼は政界の圧迫はもちろん、柔弱な大統領というイメージが広がり世論が悪化することに耐えられず、結局戦争を再び宣言した。

 二つ目は、アメリカの政治システムが次第に腐敗しているという点だ。 三権分立を通した牽制と均衡で現代民主主義の生きた教科書であったアメリカの政治システムは、既得権層の強固な勢力糾合と金権政治で汚染されている。 共和党のブッシュ一族と民主党のクリントン一族が、一世代近くアメリカの政界を掌握していることがその傍証となる。 数年にわたり続いている両党の極端な政争もその結果だ。 2年毎に選挙を行わなければならない下院議員が、事実上政治資金に振り回されていることを私は直接目撃した。 これはアメリカの対外政策が理性的な判断ではなく、国内の政治的要因によって決定され、外国には災難の結果をもたらすことを示唆する。

パク・ヒョン ワシントン特派員 //ハンギョレ新聞社

 アメリカのこうした“変質”は、韓国に対しても示唆する点が多い。特にアメリカが対外政策の中心を対中国牽制に移している時に、外交安保分野で韓国の対米依存度が改善されるどころか、反対に深化している点は大きな憂慮事項だ。 昨年、韓国政府がほとんどごり押しで貫徹させた戦時作戦統制権移管の再延期はその決定版だった。 国家間の関係で無料のものなどない。 アメリカは今後韓国に対中国包囲戦略に積極的に参加するよう圧迫してくるだろう。 ミサイル防衛を核にした三角安保協力体制の強化がそれだ。 今こそ私たちの生存のためにも、過度な対米依存度を減らし、定見ある国家としての地位を取り戻すべき時だ。

パク・ヒョン ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/702471.html 韓国語原文入力:2015-07-30 18:40
訳J.S(1801字)

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