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[社説] 北の核問題を事実上置き去りにした韓米会談

登録:2015-05-19 06:39 修正:2015-05-19 07:28
ジョン・ケリー米国務長官が18日午前に行われた会談後、ユン・ビョンセ外務部長官との共同記者会見で記者の質問に答えている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

韓米外交長官会談が18日ソウルで開かれたが、北朝鮮の核ミサイル問題を解決するための現実的な策を示すことはできなかった。代わりに対北朝鮮強硬論を強調することによって朝鮮半島をめぐる緊張が以前より高まったようだ。米国のケリー国務長官は日本の過去の問題に関連しても進展した態度を示さなかった。

 ケリー長官は会談後の会見で核問題について「対話のための対話をしてはならない。北朝鮮指導部から誠実さを見せるべきだ」と明らかにした。北がまず先に非核化の対応を取ってから6カ国協議を再開するという意味である。これは最近6カ国協議の参加国が意見をすり合わせたとされる対北朝鮮の「探索的対話の必要性」に相反する。このような強硬論は北朝鮮の挑発的な態度に対応するための韓米協力強化とは別個に核問題を悪化させて朝鮮半島の緊張を意味もなく膨らませかねない。ケリー長官は北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試験発射や公開処刑をはじめとする人権侵害にも言及して対北朝鮮の圧力を増すべきだと強調した。これまでより強い北朝鮮に対する圧迫論である。

 ケリー長官は過去の問題に関連して、日本側に明らかなメッセージを送らずに、「韓国・日本の両国が自制心を持ち続けて話し合つて解決策を見い出すことを望む」とした。彼は「安倍政権の立場は村山談話と河野談話を尊重するとしている」と言いながらも、事実上中立的な立場を示すことによって日本の肩を持ったわけだ。代わりに彼は「米国の最も重要な二つの同盟国である韓国と日本の建設的関係が重要だ」と強調した。このような態度は過去の問題に対する責任を回避している安倍政権の望むものでもある。

 米国の対北朝鮮強硬論と親日的な態度は4月末の米日の首脳会談や防衛協力指針改正でも確認されたことがある。両国は中国と北朝鮮の威嚇を口実に軍事一体化を求めており、韓米日の安保協力強化を我が国に対してプレッシャーをかけている。この過程において、北朝鮮関連の核などの問題を対話で解決するための力は弱まっている。わが国(韓国)政府は米国のこのような動きをそのまま受け入れてはならない。歴史問題をうやむやにして、北朝鮮の核ミサイル問題の解決も難航させ、北東アジアの対決の構図を強めるためである。

 今回の会談は来月に開かれる韓米首脳会談の予備会談という性格もある。今回同様の内容の首脳会談ならば必ずしも行うべき必要はない。政府(韓国)は懸案をいかに解決して朝鮮半島と北東アジアの平和を進めるものなのかをよく考えてみるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/05/18 19:02

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/691714.html 訳T.W(1147字)

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