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[社説]「我がこと」になってきたイスラム国問題

登録:2015-01-22 07:46 修正:2015-01-22 07:50

 イスラム教スンニ派の過激勢力で構成される「イスラム国」の波紋がアジア大陸の果ての我が国(韓国)と日本にまで及んで来ている。西欧とイスラム圏だけの問題ではないということが確認された以上、適切な対応策の整備が不可欠となっている。

 10日にトルコで行方をくらましたキム君(18)は自発的にイスラム国が掌握しているシリア方面に向かったと見られると警察が21日明らかにした。イスラム国に加担した外国人は80カ国で約1万5000人に達するというものの、韓国人は初めてであるため衝撃は大きい。特に我が国は歴史的にも現実的にもイスラム過激派に同調する理由がないために、なおさらのことだ。今回を特別な例と見たとしても我々の社会に投げかける警告は軽くはない。キム君のように勉学を中断したまま、精神的により所がもてず、自分だけ思いにとらわれる若者が少なくないためだ。キム君の周りの人々はもちろん、トルコまでキム君に同行したホンさん(45)の無神経ぶりも嘆かざるをえない。

 イスラム国の構成員と思われる人物が日本人2人を人質にして身代金として2億ドルを要求する動画が公開されたことも深刻な問題である。日本はイスラム国対策の国際支援として2億ドルを出すことを明らかにしていた、西欧各国とは違って軍事活動には参加していない。それでも日本人を人質としたことを思うと、地球上の誰もが人質になりうると見るべきである。イスラム国のこのような行為は安倍政権が進めている「積極的平和主義」の問題点とは別個に許すべきではない。地球市民の公憤を買うほかはない行動だ。

 キム君がイスラム国に向かったのが確かならばイスラム国側は直ちにキム君を送りかえすことを願いたい。逆にキム君を武装組織に加担させたり危害を加えたりしたならば、イスラム国はテロ組織であることを改めて自ら世界に再認識させるものである。日本人の人質もまた条件をつけずに釈放すべきである。韓国政府はキム君が無事に帰ってくるように関連国と協力して最善を尽くさなければならない。 これまでの政府の対応を見ているとうまくやってきたとは言えまい。

 よく知られているとおり、イスラム教は平和を求める宗教である。反面でイスラム国はイスラム圏のきわめて一部を占めている原理主義の過激派勢力だ。各国がイスラム国の間違った行為に共同して対応するのは当然であるが、それでもイスラム圏の国家や市民を無視したり敵対視することがあってはならない。特に我が国は各国がイスラム圏と友好的な関係を深められるよう仲介者の役割を行うべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/21 18:41

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/674621.html 訳T.W(1196字)

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