本文に移動

[コラム] それでも進歩政党は必要だ

登録:2014-12-28 06:46 修正:2014-12-28 06:59
金東椿(キム・ドンチュン)聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

 私は民主労働党結党当時に党名の決定、綱領や政策作成の作業に若干たずさわったが、内部の政派争いに違和感を感じ、それ以後は進歩政党運動に公式的に参加することはしていない。分党事態などその後に起こった諸事件について、批判もしくは論評をせずに黙って観察だけしてきた理由は、「行動が伴わない」ということを意識したためでもあるが、内部の二つの政派の路線の問題点について既に1990年代初めに立場を整理したためだった。しかし、2004年に民主労働党が10議席を得た時、大いに歓呼したのも事実であり、弾圧ではなく内部対立のために議席拡大どころか、ほとんど自爆の様相で崩れるようになったのを非常に残念に思った。特に、制度圏に入ってきた統合進歩党の指導部の路線と行動には大きく失望を感じた。

 しかし私は、今回の憲法裁判所の決定は、重武装した大王蛙がほとんど死にかけている在来蛙を相手に井戸の中で戦争を行なったものと見ている。統合進歩党の時計が5、60年代に止まっているとすれば、今回の憲法裁判所の時計は欧州の19世紀、我が国の李朝時代に止まっている。「従北」という“記号”はただ政治的反対派を“逆賊”に追い込んでいた李朝時代の守旧勢力の談論と似ている。

 “非法律的”な用語まで動員した、まともな論証もない統合進歩党解散決定は、“従北派”の脅威を防ごうというものではなく、この政権と既得権勢力の権力喪失の恐怖の異なる表現だ。そのまま放っておいても、有権者たちから審判を受けて消える可能性が高い統合進歩党を強制解散し、国民が選出した統合進歩党地域区議員の議員職剥奪までするという無理手を使った理由は、北朝鮮と統合進歩党が実際に国家にとって脅威だからではなく、現在与野党の政治勢力が独占している政治地形、分断/内戦状態が作り上げた極めて偏向的な談論、政策の地形、そういったものが変わるのが怖いからだろう。

 実際のところ、一貫した政策があり、党費を払う真性党員がいて、党員の参加と討論の過程を 保障しようとしていたという点で、過去の民主労働党とそれ以後のいくつかの進歩政党は、むしろ韓国政治史において最も政党らしい政党だった。多分韓国がまともな国だったなら、これら進歩政党が少数政党ではなく、多数党になっただろう。憲法裁判所が解散決定理由に挙げた統合進歩党内部の不正や非民主的な運営もまた、断言はできないけれども、セヌリ党と新政治民主連合も決してましとは言えないか、むしろもっとひどいだろう。

 私は汗を流して生きている多数の統合進歩党党員や支持者たちこそ真の愛国者であり、取るに足らない技術的知識とペン軸だけ転がして世の中を生きていく憲法裁判所の裁判官たちよりもはるかに韓国経済や社会発展に貢献した人々だと考える。正義に従って生きようとする彼らが、社会の底辺から見上げた韓国政治や政党や国家が信じて委託できる対象では全くなかったために、彼らは進歩政党に期待をかけたのだ。

 統合進歩党を生贄にして殺してしまえば、執権勢力の政治的危機は瞬間的に回避され、以後、野党や批判的社会勢力の挑戦を効果的に遮断できるかも知れないが、事実上島国である韓国の政治と社会は単色で塗られた硬直した暗黒の天地となるだろうし、国際社会では一層笑いものになるだろうし、自分の“言語”と支持すべき政治指導者を失った市民や労働者の挫折感と政治的無関心は、国家と社会を崩壊させる毒素になるだろう。こうして進歩政党が全て消えた場合、政治、イデオロギー思想の地形ははるかに狭くなり、日本のように保守政党の独裁が固定化されて政治的多様性と社会経済の躍動性が消えるか、あるいは米国のように深刻な不平等と暴力が繰り返される国になるかもしれない。今回の憲法裁判所の決定が及ぼす長期的な害悪の方が、統合進歩党の害悪よりもはるかに大きな理由がここにある。

 南北の平和・統一、深刻な不平等の改善と労働者の権利の増大、福祉の拡充と自営業者の権利保障を一貫して推進する新しい進歩政党の建設は依然として必要だ。北欧諸国が地球上で最も住みやすい国になったのは、社民党や労働党など、進歩政党が長く政権を取ったからだということを忘れてはならない。

金東椿(キム・ドンチュン)聖公会大学社会科学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/670422.html 韓国語原文入力:2014/12/23 18:48
訳A.K(1903字)

関連記事