来月2日に開幕する釜山(プサン)国際映画祭を巡って政治的圧力の論争が盛んになっている。釜山市が映画祭の上映作品として招請したドキュメンタリー『タイビングベル』の上映を取り消すよう圧迫を加えたのだ。朴大統領派閥出身のソ・ビョンス市長が 「『タイビングベル』の上映は不適切なので上映中断を検討するように」 と同市幹部に指示し、幹部は映画祭執行委員長に上映中断を要請した。
この映画はセウォル号の沈没で304人の乗客を救助するために投入された“タイビングベル”に関連する問題を再構成し、セウォル号事件の様々な疑問点を調べて事件の真実を追跡するドキュメンタリーである。6日と10日に上映される予定で、25日に前売りが始まるとすぐ売り切れたという。
論議の当事者であるソ市長は釜山映画祭の組織委員長だ。組織委員長ならば映画祭を擁護すべき立場にある。ところが市長は外圧を防ぐどころか、「映画祭発展のために政治的中立を損ねる作品を上映するのは望ましくない」と公けに正反対の行動をとった。組織委員長が政治的な理由で招請作品の上映取り消しを求めるのは釜山映画祭史上前例がないことだ。ソ市長の主張とは反対に、その発言こそ同映画祭の発展を阻んで政治的中立を損ねるものだ。
釜山映画祭は今年19回をむかえる伝統の映画祭である。上映作品はこれまで何度も論議をかもした。映画祭側は外部の圧力に惑わされずに強く原則を守り通すことによって信頼を得てきた。そのような粘り強さと毅然とした面がなかったとすれば同映画祭が今日アジア最高の映画祭としての名声は得られなかったことは言うまでもない。今回も釜山映画祭の執行委員会は「予定通りに作品を上映することが政治的中立を守ること」と明らかにしたが、原則を守るという点から賢明な対応といえるだろう。映画祭は多様性が生命であり、かりに論議をかもしても一般に公開することによって観客の判断を求めるのが本来の姿だ。
釜山映画祭側は予算削減や何やの圧力をある意味で心配しているという。同映画祭の予算123億ウォン(1ウォンは約0.104円)のうち60億ウォンは釜山市、14億ウォン余りは文化部がまかなうものだ。このうち釜山市からまだ25億ウォンを受けらけていない状態だと分かった。釜山市や政府機関が『タイビングベル』の上映を理由に映画祭側に横暴を働くならば、同映画祭の伝統を損ね、国際的権威をけがすことになるだろう。
韓国語原文入力:2014/09/25 21:13