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[社説]「労働後進国」へと突き進む韓国の司法判決

登録:2014-08-31 10:06 修正:2014-09-01 07:49

 韓国憲法33条は、自主的な団結権、団体交渉権、団体行動権を通じて労働者の権益伸長を保障している。世界金融危機以後、主要先進国は先を争って労働者の経済的状態と地位向上のために努力している。しかし、最近の韓国司法府では、憲法的価値と時代の流れに逆行する判決が相次いでいる。

 最高裁3部は27日、2009年に発生した鉄道労組のストライキを韓国鉄道公社(コレイル)が予測できなかったとの理由で、ストライキを率いた当時の労働組合幹部たちを業務妨害容疑で有罪判決を下したと明らかにした。今回の判決は、2011年の最高裁判例を事実上無力化するものであるため一層衝撃的だ。

2011年には最高裁全員合議体が、ストライキ労働者に業務妨害罪を適用できる要件のハードルを上げたが、今回は最高裁判事4人から成る小部がこれを事実上覆した。労働界では今回の判例により、今後は正当なスト権が大幅に萎縮することを憂慮している。交渉と賛否投票など正常な手続きを経たストライキであっても、会社側の業務に支障をきたせば不法となる余地が広まったからだ。

 学習指導教師に対して、法的に勤労者の資格を認めた判決が控訴審で覆った事例もある。最近、ソウル高裁行政6部は、「才能教育」(学習教材の出版・指導)の学習指導教師9人が起こした不当解雇および不当労働行為取消訴訟にて、使用者側に軍配を上げた。「会社との委託契約で働く学習指導教師は、労務に携わりその対価として賃金を得る労働組合法上の勤労者とはみなせない」と言うのが判決の理由だ。

 これにより、何と2000日を超えて座り込みをして苦しい復職闘争を行っている才能教育の教師たちは、この国で労働者という地位さえ持てなくなった。労働市場と雇用形態が多様化して、学習指導教師のような特殊雇用形態の労働者はますます増えている。しかし司法府は、このような労働者たちの劣悪な現実を直視して法で保護するどころか無視している。

 韓国は、仮にも先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)加盟国でありながら、労働権の保障水準では後進国に分類される。国際労働組合連盟(ITUC)が5月に発表した世界労働者権利指数(GRI)によると、韓国は調査対象139か国中で最下位の5等級に位置づけられた。これは「労働権が守られる保障がなく、法的に権利があるとしてもまともに守られていない国」に付与される等級だ。国民所得3万ドルを目前にしていると言いながら、こんな汚名をいつまで着させるのか、政府と司法府に問いたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/653400.html 韓国語原文入力:2014/08/29 18:18
訳M.S(1156字)

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