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韓国最高裁、判例覆しストライキの業務妨害罪適用範囲を拡大

登録:2014-08-27 22:55 修正:2014-08-28 07:59
労組が鉄道ストライキを予告しても会社側に予測できない
“電撃性”で判例覆し無罪原審を破棄して差し戻し
労働界「最高裁の保守化、団体行動権が萎縮」
「強制異動を撤回せよ」と鉄道労組員剃髪。今年3月29日午後、ソウル市龍山区のソウル駅広場で開かれた「全国鉄道労働組合全面ストライキ総力闘争決起大会」でKORAILによる“4月初め約850人循環異動”の方針を“報復性強制転出”として抗議する剃髪式が行われた。同僚の髪を剃ったある組合員が、丸坊主になった同僚を思いやっている。この日の剃髪式には約100人の組合員が参加した。 イ・ジョンウ先任記者 woo@hani.co.kr

 韓国最高裁がストライキに対する業務妨害罪の適用を限定してきた従来の判例を自ら覆す判決を下した。“ヤン・スンテ最高裁”の保守化が、労働者の団体行動権を萎縮させるという分析も出ている。

 最高裁3部は、ストライキを率いたイ氏(46)など全国鉄道労組幹部に無罪を宣告した3件の原審を相次いで破棄し、事件を大田(テジョン)地方裁判所などに差し戻したと27日明らかにした。イ氏らは2009年に李明博(イ・ミョンバク)政権が推進した公共機関先進化政策にともなう韓国鉄道公社(コレイル)の人員縮小と鉄道先進化方案に反対するストライキを行って起訴された。

 裁判所は判決文で「鉄道労組の循環ストライキと全面ストライキは、賃金水準改善などの意図が全くなかったと見ることはできなくとも、団体交渉の対象になりえない公共機関先進化政策反対など構造調整の実施それ自体を阻止することに主な目的があったことが明らか」であることを前提にし、「大衆の日常生活や国民経済に大きな影響を及ぼす必須共益事業を営む鉄道公社としては、労組がこのような不当な目的のためにストライキを実際に強行するとは予測し難かったと判断される」と指摘した。ストライキが使用側に予告せずに電撃的に行われたと判断したわけだ。

 最高裁全員合議体は2011年3月、この「電撃性」、すなわちストライキが予測不可能だったという点が認められてはじめて業務妨害罪を適用できるとして、既存判例を変更した。 ところが、今回の判決ではこの判例の適用を事実上排除したことになる。2011年当時、最高裁は「前後の事情に照らして使用者が予測できない時期に電撃的にストライキが行われ、事業運営に甚大な混乱を招いた時には、労務提供の拒否が威力に該当し業務妨害罪が成立する」と明らかにした。 業務妨害罪の認定に‘電撃性’という条件を付けていなかった以前の判例を変えたわけだ。

 イ氏らの事件を受け持った原審は、2011年の最高裁判例を根拠に鉄道労組が何度も警告した後にストライキに突入したため‘電撃性’がないストライキと判断し、無罪を宣告した。当時のストライキでは2009年11月26日~12月3日の間に旅客・貨物列車2741両の運行が中断された。

 だが、最高裁は今回、「鉄道公社は事業場の特性上、業務代替が容易ではなく使用側の対応には限界があった」として。「あらかじめストライキの日程が予告されたり、知らされたとは言っても(予測可能性を)変えるものではない」と判断した。予告されたストライキであっても使用者が予想しにくい状態だったとすれば‘電撃性’が認められるという趣旨だ。

 2011年の全員合議体判例の変更に参加したある元最高裁判事は「電撃性を業務妨害罪の成立要件にしたのは、例外的な場合にのみ業務妨害罪が認められるという意味なのに、(今回の判決は)当時の全員合議体判決の趣旨からかなりの部分抜け出したと見られる」と話した。

 今回の判決が昨年の鉄道ストライキ裁判に及ぼす影響も注目される。 検察は当時の政府の鉄道民営化に反対してストライキを主導した労組指導部を業務妨害容疑で起訴した。

ノ・ヒョンウン、キム・ミンギョン記者 goloke@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/653141.html 韓国語原文入力:2014/08/27 22:05
訳J.S(1551字)

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