似非保守・前科者・渡り鳥 等々…‘国家改造’主導者の正体
誰が誰を改造するというのか…あんた方が改造の‘対象’だ
ソウル汝矣島(ヨイド)のセヌリ党舎4階には記者会見場がある。 8日午後、壇上にキム・ムソン議員の写真を入れて作った背景図が懸けられた。 全党大会への出馬を宣言するキム・ムソン議員の声には力があった。 彼は「過去と決別する」と話した。 「積弊清算のために、大統領の国家改造作業に積極的に参加する」とも述べた。
キム・ムソン議員は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が2007年の南北首脳会談で北方境界線を放棄したと主張した人物だ。 いわゆる従北左派の執権は許さないというのが彼の所信だ。 盧武鉉元大統領や文在寅(ムン・ジェイン)議員を従北と言うのを見れば、考えが不足しているか、選挙に目が眩んで国益を考えない似非保守であるようだ。 全南(チョンナム)紡織の創業者であった彼の祖先は、1970年に韓国経営者総協会を作り初代会長を13年間にわたって務めた。 キム・ムソン議員自身は内務部次官、政権与党の院内代表と非常対策委員長を務めた。 既得権勢力の一員という話だ。 彼が清算するという積弊とは、いったい誰が作ったものだろうか?
10日に出陣式を行うソ・チョンウォン議員は、朴槿恵(パク・クネ)大統領と義理で結ばれた間柄だ。 彼が2007年のハンナラ党党内競選で朴槿恵(パク・クネ)大統領を支持した理由は「朴槿恵候補は2004年に党を危機から救った。 困難な時に組織を守った人であり、それに対して義理を返さなければならない」という主張だった。 朴槿恵大統領は2011年12月、ソ・チョンウォン議員のチョンサン会の忘年会に「義理がなければ人間でもない」というメッセージを送り、それに応えた。 ソ・チョンウォン議員は政治資金法に二度違反した前科者だ。 2002年にハンナラ党のトラック単位の政治資金取引事件、2008年親朴連帯代表時期の比例代表公認献金事件で二度監獄暮らしをした。
イ・インジェ議員も10日、セヌリ党革新方案を発表する。 彼は1988年統一民主党から出発して、今までに多くの政党を渡り歩いた。 セヌリ党は彼にとって十三番目の党籍だ。
セヌリ党の代表は党員たちが勝手に選べば良いことだ。 問題はそれらが揃って朴槿恵大統領と共に国家改造をすると駆け寄っていることだ。 政党代表は国会の立法に相当な影響力を行使できる。 既得権勢力の一員である似非保守や、大統領と義理で通じる政治資金法前科者、最多渡り鳥記録の保有者が国家改造をすると考えると、ちょっとぞっとする。
セヌリ党の有力党役員も国家改造に積極的だ。 地方選挙の翌朝、国会代表室でセヌリ党非常対策委員会が開かれた。 委員長であるイ・ワング院内代表の表情は自身満々だった。 彼は選挙結果を「朴槿恵大統領にもう一度国家大改造という責務を成し遂げろと機会を与えられた」と解釈した。 彼は警察出身の野心家型政治家だ。
ユン・サンヒョン事務総長も堂々としていた。 彼は「新しい大韓民国、本当に安全で腐敗のない大韓民国を作るために、渾然の、最大限の努力をする」と誓った。 彼は全斗煥前大統領の婿であり、今は財閥一家の婿だ。 野心だけは誰にも負けないと見なければならない。
大統領府の人々は国家改造をどう考えているのだろうか? 与党要人の話を総合すれば、特別に考えてはいないようだ。 朴槿恵大統領が一人で報告を受けて決めて指示するだけで、残りは黙々と指示に従う人々だということだ。 キム・ギチュン秘書室長も同じだという。 新任のユン・トゥヒョン広報首席も似たスタイルだ。 イ・ジェマン総務秘書官、チョン・ホソン1付属室長、アン・ポングン2付属室長は相変らず朴槿恵大統領の重要なメッセージ窓口だ。 このような大統領府に国家改造ができようか? できない。
結局、国家改造を推進するならば朴槿恵大統領がするしかない。 できるだろうか? できない。 改造は「直して新たに作る」という意味だ。 朴槿恵大統領は20代で父親から国政を習った。 当時の国家の大きさは今とは比較できないほどに小さかったし単純だった。 朴正熙政権は、国民教育憲章と維新憲法で国家改造を試みたが、それでも成功はできなかった。 2014年の大韓民国を改造するには、高度な洞察力と経綸を備えたリーダーと集団が必要だろう。 朴槿恵大統領自身はそのような洞察力も経綸も備えているとは思えない。 そのような人々を大統領府や行政府に起用しようともしない。 だからできない。
朴槿恵大統領に果たして国家改造の資格があるかも疑問だ。 セウォル号惨事は根本的に人より金銭を崇拝する価値観の所産だ。 朴槿恵大統領のアイデンティティは朴正熙前大統領の‘豊かに暮らしてみよう’、李明博前大統領の‘国民成功時代’に根を置いている。 朴槿恵大統領が国家改造を叫ぶのは、欠陥工事で建物を潰した建築主の娘が、その建物を作り直すことに固執しているのと違わない。 現執権勢力はクーデター、独裁、不正、政経癒着などあらゆる不法を犯した人々の後えいたちだ。 改造の主体ではなく改造の対象だ。
だから言おう。 どうか頼むから国家改造をするな。 国家は改造の対象ではない。 誰も国家を改造できる権限を国民から委任されていない。 改造しなければならないのは貪欲と無知にびっしりと埋め尽くされた既得権勢力の頭の中だ。 権力を掌握した人々と、いわゆる社会指導層と言われる人々が国民を恐れて、法と原則を守っているだけでもセウォル号惨事は起きなかった。 今、誰が誰を改造するというのか。
ソン・ハンヨン先任記者 shy99@hani.co.kr