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[世相を読む] 大韓民国号はすでに沈没中だ/金東椿

登録:2014-04-22 18:00 修正:2014-04-23 06:39
金東椿(キム・ドンチュン)聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

悲しい。 本当に悲しい。 80年5・18の時は怒りが大きかったが、今回は悲しみが怒りより大きい。

 セウォル号事故の原因はまだ明らかになっていない。 生かすことのできた多くの幼い命を結果的に海に水葬させたこの政府の対処過程に対する疑いが加重され、その実状も一つずつ明らかになっている。 遭難および救助過程に関する情報は統制されていて、犠牲者たちの抗議は警察力によって封鎖されている。

 大韓民国という船はすでに床の裂け目に水が入り込み徐々に沈没中た。 入り込む水によって毎年1万6000人以上の人々が非自然的な理由で人知れず死んでいるけれど、今回のように外部の衝撃を受けて船に小さい穴でも空けば、船室にいた数十、数百人が一度に死んだりもする。

 大韓民国号の床の裂け目は昔にできたものもあり、たまには金大中・盧武鉉政府が作ったものもある。 しかし、最も大きい裂け目は李明博・朴槿恵(パク・クネ)政府が作った。 この二つの政府は金・盧政府が塞ごうとした裂け目を更に大きく広げた。 事故船から脱出した船長第1号は李承晩だ。その時、船長と船員らは全員国民に船を守ろうと嘘をついておき自分たちは脱出した。 アメリカが私たちの船を救済したと主張して責任を負うどころか功を強調した彼は、慈愛深い父親イメージで演技して結局国民によって追い出された。

 李・朴政府下の核心国家機関、金融機関、権力者は無数の法律違反行為を犯した。 これらすべての犯罪の上層部ラインはほとんど一つも明らかにならず、まともに処罰された人もいない。 この二つの政府の最高位層の相当数は、ほとんどが大小の法律違反履歴を持った者で充たされ、公職にいたとは信じられないほどの財力家だ。 この二つの政府は金・盧政府が作っておいた各種安保、災難管理対策、重要国家情報をほとんど丸ごとゴミ箱に叩き込んだり必要な時に政治的に利用した。 該当分野にいくら高い専門性を持っている人でも、味方でなければ置き換えた。 特に朴槿恵政府は所信を持って国家情報院の犯罪を捜査した検察の総師を、核心国家機関をほとんど総動員して追い出した疑いがある。 国家の上席は自身に忠誠を尽くす人々だけで充たし、企業の下の席は全て1・2年契約の非正規職で満たした。李・朴政府は企業犯罪は犯罪ではないとの信号を確実に与えているので、企業家は人の生命と安全は眼中に置かない。 所信と専門性の代わりにひたすら忠誠だけが重要な世の中で、義人は消えアマチュアが幅を利かせ、国民の安全を見守らなければならない公職者は唯一上層だけを見つめ、2・3等室の国民には関心がなかった。 もし何人かが船の底から水が入ってくると大声を上げれば警察と検察が‘従北派’と言って脅す始末だ。

 船上の‘劇場’ではパーティーが開かれ、言論は‘行政安全(部)’を‘安全行政(部)’に変えたというような彼らのもっともらしい話と演出された行動だけを照明した。 船上舞台の主役らは個人用救命ボートで脱出する準備ができている。 これを見た大韓民国号の末端船員は、自分の仕事に対する自負心、職業意識と責任感を履き古した靴のように捨てた。

 権力者や大企業の犯罪が断罪されず、国民がそれに抗議できない社会では、官僚組織は抑圧機構に過ぎなくて、国民の主権は喪失された状態であり、社会はすでに破壊されてしまった。 今回の事故で逃げた船長・船員はただ上の人々を見てまねただけのことで、企業が彼らを待遇した通りに行動した。 社会が破壊されれば小さな事故も大惨事になり、大惨事の犠牲者は主に船底の人々だ。

そうであるからこの船の本格的な沈没は今からだ。

キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/633837.html 韓国語原文入力:2014/04/21 19:04
訳J.S(1689字)

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