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[世相を読む] 統一? 「大韓民国を先ず統一しなさい」/金東椿(キム・ドンチュン)

登録:2014-03-11 20:40 修正:2014-09-05 16:04
キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が年初に‘統一大当たり’論という大きなイシューを持ち出した後、離散家族対面、南北高位級接触が試みられるなど南北関係が急流に乗っている。 そして、先日の閣僚会議では再び統一準備委員会の設置を強調した。 彼女はドイツ訪問日程などと結合して統一に関するもう一枚の会心のカードを取り出すようだ。

 朴槿恵大統領が経済・社会福祉領域で事実上公約を守れないという限界を、南北関係改善を通じて突破するだろうということはある程度予想されていた。 野党や反政府勢力が平和・統一を主張すれば‘従北’として攻撃を受けても、朴大統領が言う場合には極右勢力もなだめられるので、将来は朴大統領が米-中交流を通じてデタントを導いたニクソンのような役割をしようとするかもしれない。 特に昨年から朴大統領がユーラシア鉄道連結プロジェクト等を通した経済的利益を主に強調しているが、DMZ平和地帯構想を明らかにしたことがあり、どんどん‘分断70年’を強調している点を見れば、この間以前の民主政権と運動勢力が推進してきた平和統一の‘価値’までもある程度奪い取ったようだ。

 もちろん統一大当たり論は国内用だが、我々が統制できない多くの国際変数、すなわち停戦協定が厳存しており、米国が日本を支援しながら東アジアに一層積極的に介入しようとする意志を見せている環境では、統一は南北韓(韓国と北朝鮮)指導者の意志の外にあるという厳然たる事実を覆い隠してしまっている。 そしてこの政府が、離散家族対面を一度成功させたこと以外に韓半島信頼プロセスを進展させるいかなる具体的な措置も取っていないという点で、未だ‘話’に留まっている。

 統一イシューはとても引火性が強いので、朴槿恵政府が新しいカードを出す場合、我々はどのような統一、なぜ統一かという問いに直面することになるだろう。 南北単一経済圏樹立は言うまでも無く切実な事案だ。 実際、さらに重要なのは長期経済効果を含む政治的結果だ。 単純な国家連合水準の低水準の統一とは言っても、南北間の敵対が終息し南北が共同の目標に向かって歩むことができるならば、米国の東アジア政治軍事介入の名分が弱まり、日本極右勢力の立場も大きく弱化させるなど、東アジアの政治経済地図を塗り変えるだろう。 更に一歩進んで、西欧コンプレックスに苦しめられながら西欧資本主義の短所ばかりを過度に輸入してきた東アジアを、新しい文明の主体として新たに登場させる契機になりうる。

 分断は西欧近代の極端な衝突現場であり、韓半島は近代文明のゴミ処理場なので、国家連合のような低い段階で統一が進行されたとしても、結局国家を新たに作る作業、社会の枠組みを新たに組み立てる作業に進むことになるだろう。 そのために統一は経済的動機で出発したとしても‘韓半島の経済活力以上’の甚大な政治社会的結果を招くことになる。

 このような統一過程では、内部の‘敵’を意図的に作り住民を怖がらせることにより権力を享受してきた南北韓の二つの敵対的共存勢力が後に退かなければならない。 北韓の世襲全体主義も依って立つ場がなくなるが、北韓(北朝鮮)との敵対を口実に作られた南韓(韓国)のすべての法・制度・機関がなくなったり変わったりせざるを得ない。

 朴槿恵の統一論が、内的には自分の肉をえぐり取るかも知れないこのような統一にまで推進するビジョンと意志を果たして含んでいるだろうか? そして米・中間で綱渡り外交をする度胸があるだろうか? 今までの行動と言葉から見れば全く違う。南韓(韓国)内の深刻な葛藤を飛び越える統一は不可能だ。 「南北統一を先送りして、大韓民国を先に統一しなさい。」 国家情報院工作被害者の遺書に多くの要請が含まれている。

キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/627588.html 韓国語原文入力:2014/03/10 21:12
訳J.S(1736字)

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