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[世界の窓] 南北韓の外的統一と内的統合/金景一

登録:2014-03-23 22:09 修正:2014-03-24 00:22
金景一 中国北京大教授

 1990年の東西ドイツ統一は韓国に前例のない統一熱気を呼び起こした。 ところが統一後、東西ドイツが体験する激しい葛藤と西ドイツが支払う途方もない経済的代価を見守りながら、韓国では‘統一忌避症’が生じ始めた。 それでも内的統合を実現し世界4位の経済大国になったドイツは、韓国がベンチマーキングしようとする羨望の対象だ。 金大中元大統領のベルリン宣言に続き、朴槿恵(パク・クネ)大統領がドイツで韓半島統一構想を発表しようとする理由だろう。

 年初から朴槿恵大統領は統一大当たり論に続き、統一準備委員会の発足で韓国に新しい統一旋風を起こしている。 朴大統領はなぜ統一しなければならないかに関する正当性を対内外に明らかにした。 対内的には統一に対する冷淡症や忌避現象を払拭し、対外的には韓国主導の統一意志を周辺国に強く印象づけた。

 朴大統領が強調する統一の正当性と大当たり論は、統一をバラ色に彩るに充分なようだ。 世界のどこにも先進国への入り口に立った韓国のように、国土と資源、人口をそのように増やせる国はない。 統一が持たらす地殻変動は韓半島を英国やドイツに次ぐ大国にできるだけでなく、この地域を世界経済の中心の一つとして浮上させるにも充分だ。 それだけに統一の正当性はいくら強調しても過ぎることはないだろう。

 問題はどのようにして統一を成し遂げるかということだ。 朴大統領の統一への歩みは、彼女の統一哲学にともなう手順かもしれないが、時期的にチャン・ソンテク事件後の北韓と重なりながら北韓急変事態や崩壊を念頭に置いたものではないかという視角もなくはない。 そのためだろうか。 ‘バラ色統一’はあっても、肝心の統一相手である北韓は見えていないようだ。 韓国主導の統一であるから北韓は韓国が導くとおりに従わなければならず、また従うと信じているためか。 一方的に韓国が押しつけるという感じもなくはない。 北韓を被動的に‘統一されなければならない対象’に過ぎないと考えているのだろうか。 外的統一はあるが、内的統合は見られないようだ。

 ドイツの統一は外的統一を引き出した後に内的統合、すなわち深層の統一で幕を下ろしている。 ドイツが内的統合で体験した陣痛は、一時韓国の統一熱気を冷やした‘他山の石’になりもした。

 すると、今回の統一熱気はこの内的統合を跳び越えたものだろうか? 東西ドイツの経済的格差、文化的差異、価値観的差異は南北韓の差に比べてはるかに狭かった。 お互いの門が常に開いていたためだ。 それをさておくにしても、韓北韓とは異なり東西ドイツは同族間が争う戦争で‘憎悪心’をかき立てたことがない。

 統一前に東ドイツと西ドイツの住民たちが親戚訪問のために果てしなく立ち並んだ風景は、南北韓では見られない風景だった。 それでも韓国が西ドイツのように相手を磁石のように引きつける局面でもなさそうだ。 そのように見れば外的統一を成し遂げた時の東西ドイツは社会統合基盤が今の南北韓よりはるかに強固だったのだ。 そういう統合基盤がなかったとすれば、キリスト民主党にいくら決断力があったとしても、これという大きな衝突なしに内的統合をなすことは容易ではなかっただろう。 東西ドイツに比べて南北韓の見えない障壁ははるかに厚い。 衝突で飛火しかねない葛藤要素が随所に敷かれている。 別の見方をすれば目に見える障壁を取りはらうより、見えない障壁を取りはらう方がはるかに難しいかもしれない。 ドイツの統一をそのままベンチマーキングできない理由だ。

 南北韓統一の終着駅は内的統合といえる。 いかなる統一においても、内的統合をなしえなければ合意統一後に内戦に上り詰めたイエメンの前轍を踏むことになりかねない。 内的統合ではなく外的統一だけを追求すれば、新たな分裂を招くこともありえるのだ。 内的統合の開始は統一後ではなく今からだといえる。 朴大統領が出した信頼プロセスがまさにその内的統合過程といえる。 朴大統領が出す統一構想は、その延長線として内的統合の青写真を描くことになるべきではないだろうか?

 ‘民心を得る者が天下を得る’と言う。 統一という天地では半分の民心は北韓にある。 これは自ずと得られるものではない。 道は交流と協力を通した内的統合にしかない。 この内的統合の道を先に歩かなければ、統一は近づきながらも遠ざかることになるだろう。

金景一 中国北京大教授

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/629417.html 韓国語原文入力:2014/03/23 18:42
訳J.S(1952字)

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