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[世界の窓] 金正日が中国に行った理由/セリグ・ハリソン

原文入力:2010-05-17午後08:32:25(1699字)

←セリグ・ハリソン米国国際政策センター専任研究員

北韓が天安艦に魚雷を発射したのかどうかは分からない。しかし私は万一、北韓がそうしたとしても驚かない。李明博政府は金大中-盧武鉉2人の大統領の南北首脳宣言を会堂に安置し、南北共同声明を否認した。北韓の報復を呼び起こした側面がある。これは万一、北韓がそのような問題を起こした場合、北韓を容赦できるということを意味することではない。

李明博政府が2回の首脳宣言を拒否するのは、北韓に韓国が再び北韓の崩壊と吸収統一を願っているのではという恐怖を呼び起こしている。現時点で必要なことは、李明博政府が両首脳宣言を明確に受け入れ非核交渉を進めることだ。

韓国は北韓-米国両者に非核交渉、南北韓・米国の3者平和交渉、そして6者会談再開などに対し積極的に支持しなければならない。非核化は南北対話の前提条件ではなく、南北関係改善と同じように進行されなければならない。

もちろん現実は政府与党内強硬派たちが李明博を反対方向に追い込むかも知れない。米国防総省と国務部官吏たちの話によれば、去る6日 ワシントンを訪問したパク・チン国会外交通商統一委員長は米国官僚らに会い西海での韓-米合同海軍訓練、北韓を除く5者会談などを促したという。

2000年6月、南北首脳会談以前の軍事的緊張状態に戻ることは、韓国、北韓双方の軍事費増強を意味する。ある分析家たちは軍事費増強が韓国の経済発展に利益になるという主張をしたりもする。しかし、ジョン ペパー(米政策研究院外交政策フォーカス所長)は韓米経済研究所(KEI)報告書を通じ「軍事費が経済的利益になるというのは非常に微弱な水準であり、かえって逆効果を産む場合が多い」と指摘した。

ソ・ジェジョン教授(ジョーンズホプキンス大)は論文で「韓国の軍事費用は政府、軍、防衛産業関連企業の緊密なネットワークである‘軍産複合体’により主に導かれている」と話した。ソ教授は1990年代中盤、韓国の防衛産業関連企業に326人の前職将軍と将校らがいたと明らかにした。

ペパーは年間70億ドル規模の北韓国防費規模では、韓国(200億ドル)についてこれないと指摘する。

韓国では軍産複合体らが軍備縮小の反対最前線に立っている。北韓にも労働党内強硬派と結びついた軍産複合体がある。金正日治下でこれらはさらに強くなった。
しかし北韓の場合、経済的要因のためにも軍縮が避けられなくなった側面がある。これに反し、韓国は急速な経済成長により国内総生産に国防費が占める比重が(北韓に比べて)高くなく、実際国防費は着実に増加していることからも軍縮圧力が北韓ほどに大きくない。

米軍の存在も軍縮を至急要件にさせないまた別の理由だ。しかし防衛費が福祉費に転移するならば、韓国の中産層と低所得層が大きな利益を得ることができるだろう。韓国は先進国に比べ国内総生産(GDP)に比べ医療、福祉、社会保障費用が非常に小さい。

最近の金正日北韓国防委員長の中国訪問は、過度な軍事費増加を減らそうとする意図が含まれている。

私は1998年脱北直後、ファン・ジャンヨプがした予言的インタビューを覚えている。彼は 「中国は金正日を自分たちの領域に引き込もうと努めているところだ。食糧難と経済沈滞が続けば、金正日は助けを得るために中国に降参するだろう」と話した。北韓が中国にひざまずくということは、中国の羅津港開発を許容し中国の長年の念願である東海進出を可能にさせることに連結されるかもしれない。

李明博の(対北韓強硬)政策は、北韓の中国依存度を高め、これは東北アジアで中国の戦略的地位を強化する結果を産んでいる。これは結局、長期的に米国と韓国の費用増加に帰結されるだろう。

セリグ・ハリソン米国国際政策センター専任研究員

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/421199.html 訳J.S