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[世界の窓] 悲観論がさらに恐ろしい/ディーン ベーカー

原文入力:2012/07/24 19:17(1596字)

←ディーン ベーカー米国経済政策研究センター共同所長

 米国が2008年から始まった深刻な景気萎縮状況で遅く停滞した回復期を過していることは明らかに見える。 働き口はその間の平均的な傾向に比べて依然として1000万ヶも不足している。 現在、働き口が一ヶ月に10万ヶ程度増加しているものの、この傾向では働き口の回復速度が今より2倍速まり一ヶ月に働き口が20万ヶずつ着実に増えるとしても完全雇用状態を回復するには今後10年はかかるものと見られる。

 生産サイドを見回しても状況は同様だ。 米国議会予算局は今、米国経済が潜在国内総生産(GDP)に比べて6%不足した状況だと推定している。 現在、米国の潜在国内総生産成長率は年2.4%程度だ。 これは米国経済が潜在成長率水準を回復するには今後10年間に毎年3%ずつ成長しなければならないということを意味する。

 不幸にも言論やワシントンの几帳面な政策決定者らは彼らが毎度誤読している最新経済データに埋没し、経済の長期的な傾向に対する議論をほとんど出来ずにいる。 昨冬の‘好況’は異例的に暖かかった天気のおかげで一般的な傾向より多くの働き口と小売り販売、住宅販売がなされたの結果だ。 それによって多くの経済アナリストが景気回復に対する過度な期待感を抱くことになった。

 今はそれとは反対に状況が変わっている。 期待以上だった昨冬の成果が期待に沿えない今春の不振によって相殺されているわけだ。 私たちは4月から6月まで3ヶ月連続で不振な働き口回復傾向を経験しており、米国商務部は小売り販売が3ヶ月連続で下落したと明らかにしもした。

 特に小売り販売数値が公開されると人々は歴史の本を検索して、小売り販売が3ヶ月連続で下落した後にはほとんど例外なしに不況が到来したことを発見した。 二重沈滞(ダブルディップ)を警告する壁掛け時計がいっせいに鳴り始め私たちが2番目の沈滞を迎えているという警告を吐き出したのだ。

 しかし3ケ月連続で小売り販売が下落すれば不況がくるという事実を過度に心配する前に、以前の3ケ月間の小売り販売が年8.5%も増加していたという事実を考えなければならない。 小売り販売は依然として昨年より5%程度増えた状態だ。 これは不況の根拠にはなりえないということだ。

 その上、住宅販売など経済の他の分野も良い成果を出している。 商務部の住宅販売指数は去る6月から2008年秋にリーマン事態が勃発した直後水準の販売率を示している。 製造業分野も以前の水準に回復しているように見える。 米連邦準備制度理事会(FRB)の資料を見れば、6月の生産量が0.7%増えた。 去る数週間に失業給付申請者数も雇用のゆるやかな回復傾向と一致している。

 多くの経済指標が米国経済が年2.5%成長という潜在成長率水準に回復中という事実を示している。 これは強く祝うほどではないが、明確に不況だとして挫折するほどの水準でもない。

 不幸にも去る数ヶ月間の経済関連報道は過度な悲観主義の影響を受けた。 これを克服するには公開された指標が気まぐれだということを知らなければならない。 どんな指標でも実際より縮小したり誇張できる多くの任意的な変数がある。 ある指標が公開されれば、これを前の指標と入手可能な他の情報らと比較しながら調べなければならない。 天気も重要だが、季節的調整ということは正常な気候変動を反映するものであって、ハリケーンや異常高温現象まで考慮したものではない。

ディーン ベーカー米国経済政策研究センター共同所長

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/544021.html 訳J.S