政府は14日の閣僚会議で、2035年までの‘第二次エネルギー基本計画’を最終決定した。電力需要が2011年対比で80%増加することを前提に、原子力発電所を5~7基新設する内容などを盛り込んでいる。一言で言えば、電力需要が大きく増えるのでそれに合わせて原発を増設すると公式宣言したのと同じだ。
‘2次計画’の最も大きな問題点は、電力需要の展望が誇張されているということだ。政府は既存の供給一辺倒の政策から需要管理型に切り替えたと言うが、実際には既存の政策と変わったところは殆どない。むしろ年平均の電力需要増加率を2008年に立てた‘1次計画’時の2.2%から2.5%に更に高めた。現在でも経済規模に比例して電力需要が高い方なのに、増加率の展望値をさらに高めているのは、今後も電気を存分に使うようにして置くというのと同じだ。
電力需要の増加率の見込みを上方修正し、発電設備の予備率まで22%に高めるとして、発電設備を現在の2倍に増やさなければならない状況になってしまった。結局、現在23基ある原発に、すでに建設中・計画中の11基以外に、さらに5~7基を作るほかない状況を政府が意図的に作ってしまったわけだ。日本の福島原発事故以後の世界的な脱原発の流れに逆行する時代錯誤的なエネルギー政策といわざるをえない。
大規模な原発の弊害は一つや二つでない。原発で生産された電気は原発の廃棄費用まで考慮すれば決して値段は安くないということが明らかになっているうえに、原発で生産された電気を送りだす高圧送電塔の建設が容易ではないことは、密陽の例(訳注・高圧送電塔反対市民運動)でもありありと目にした。原発立地選定の困難さはそれ以上に言うまでもない。
原発は増設する反面で、新再生エネルギーの割合は以前と同じ11%に据え置いたことも問題だ。現在でも全世界の再生エネルギー割合が20%余りになるのに、依然として10%台に下方設定したことは新再生エネルギー拡大の意思がないことを意味している。政府は機会あるたびに温室ガスの縮小や新再生エネルギー拡大を通したグリーン成長をとなえてきたが、言うことと政策は別々だったわけだ。
問題だらけの第二次エネルギー基本計画をこのまま進めてはならない。特に誇張された電力需要展望を前提に原発増設を合理化したことは受け入れられない。各界の意見をきちんと取りまとめてから再検討することを望む。