中国は22日、東シナ海上空に防空識別区域を宣言し、日本と領土紛争中の尖閣諸島(中国名・釣魚島)と我が国が管轄を主張する離於島(イオド)を中国領域に盛り込み、波乱が生じている。中国の意図は紛争地域である尖閣諸島に対する領有権主張をより確固たるものにしようとする動きと見られるが、我が国の防空識別区域の一部と離於島まで含めたことはこのまま放っおく訳にはいかないものだ。
防空識別区域は一国が自国の領空を防衛するために領空周辺の一定地域に設定している区域だ。国防部によれば、1950年代から国際的に設け始め、今では20余ヶ国に設置されている。中国と台湾の事例のように特殊な場合を除けば、互いに重なる部分はほとんどないという。例えば1951年の6・25戦争中に米国空軍が設定した我が国の防空識別区域と、69年に宣言された日本の防空識別区域は全く重ならない。ただし独島(ドクト)は我が方に、離於島は日本側の防空識別区域に入っていて神経戦は続いている。
中国が今回宣言した防空識別区域は日本の防空識別区域を露骨に大きく取り込んだという点で、非常に挑発的だ。相手方の軍用機が事前通報なしにこの区域に進入した場合、軍事対応も辞さないという意を含んでいて、尖閣諸島をめぐる中-日間の武力衝突の可能性が一層大きくなったと言うことができる。このような中国の一方的で無謀な措置は、尖閣諸島領有権に対する是非を別にして国際社会の支持を受け難い。国の安全と繁栄のために地域の平和が何より重要な我々としても警戒せざるをえない。
中国が設定した防空識別区域は我が国の防空識別区域と一部(幅20km、長さ115km)重なる。その上、離於島地域の上空も含んでいる。防空識別区域は国際法的に認められておらず、領土・領海とは直接関連がないとはいうものの、領土・領海と完全に別個のものとも言い難い。実際、私たちがこれを認めることになれば、離於島に飛行機で行く場合、日本の他に中国にも事前通告をしなければならない。
政府は中国の措置に、遺憾で認められないと言うにとどまらず、外交的に積極的に協議して二国間の防空識別区域の重複を避けるよう最善の努力を傾けるべきだ。この際、離於島問題も中国、日本と協議して我々の防空識別区域に入れる方法も推進することを望む。さらに重要なことは、小さな利害にとらわれず、大きな枠組みから、中-日のあつれきが地域情勢の不安を招かないように我々が寄与できる方法を見いだすことだ。