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[社説] 原発稼動は遅れるのに送電塔は強行するのか

登録:2013-10-18 19:34 修正:2013-10-18 21:36

 密陽(ミリャン)送電塔問題が新しい局面を迎えた。新古里(シンゴリ)原子力発電所3・4号機につながれた制御ケーブルが性能試験をクリアできず、原子力発電所の稼動が少なくとも2年遅れることになったという。来年夏の電力難を防ぐためという、送電塔建設強行の根拠がなくなったのだ。このような状況で工事を押し切れば摩擦は一層激しくなるだろう。住民対策委の要求を受け入れて、ひとまず工事を中断して社会的な機構を設けて問題を民主的に解決するきっかけにしなければならない。

 政府は来年8月の原発稼動日程に合わせるべきとして送電塔の工事を押し切ったが、性能試験に落ちた制御ケーブルを撤去して安全性が立証された新しいものに替える作業は2年以上かかるという。制御ケーブルは高温や高圧の異常事態でも制御室の動作信号と原発現場の主要データを伝える重要な部品だ。偽造された部品が新たに明らかになったり、新しく交換した制御ケーブルで再び問題が発生した場合、原子力発電所の稼動時期はさらに遅れる可能性もある。二つの原発の稼動は早くて2015年末に可能だという話だ。

 かつて住民対策委は制御ケーブルが性能試験で不合格になる可能性が高いという状況証拠を示して、試験期間に工事を中断することを提案したことがある。しかし政府も韓電もそれに耳を傾けず、工事の緊急性だけを主張した。そして制御ケーブルの試験は行うこともできず、事前審査で落ちてしまった。客観的検証が必要な技術的な面で、住民対策委が判定勝ちをおさめたのだ。理性的で合理的な判断をしているのが誰だかはっきりしたわけだ。

 密陽問題でお年寄りの住民たちが警察と衝突して負傷するなど大きな苦痛を味わっている。送電塔の問題は密陽だけの問題ではなく全国各地に潜在している。根本的な原因は韓電が最も無力な村に、最も容易に、最も少ない費用で送電線をひいて、住民たちは計画を受け入れる以外には他の選択をできないように押し付ける点にある。維新体制政権(訳注・1970年代)末期に作られた電源開発促進法は、事業の計画から実施、補償の対策にいたる全ての段階で民主的判断や透明性、客観的検証を裏付ける規定がないといっても過言ではない。密陽問題は弱い者の一方的な犠牲で維持されてきた旧時代的な電源事業がもはや通じないということを示している。

 米国やドイツは送電設備の経済的・技術的妥当性を客観的に検証して利害関係者の合意を得る公けの議論の場を設けているという。政府と韓電は工事を押し切るのではなく、今回をきっかけに、社会的な費用を減らし、問題を起さない解決手段を作ることを望みたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/607478.html 韓国語原文入力:2013/10/18 08:46
訳T.W(1209字)

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