登録 : 2013.02.27 23:17 修正 : 2013.02.28 10:18

一部では1370年頃 略奪疑惑 提起
国際協約では流出経緯を把握し判断
関連遺物・文献がないということが問題
略奪が明確でも交渉妥結は困難

最近、還収有無を巡って論難が起きている14世紀高麗後期の菩薩座像(右側)と9世紀 統一新羅時代の金銅如来立像。 昨年10月、日本対馬で韓国の窃盗犯が盗み国内に密搬入して売ろうとしたが、去る1月に押収された後公開された姿だ。 大田(テジョン)/ニューシス

 他人の家から盗んだ贓物を見つけたが、分かってみればその昔に我が家から強奪された宝物だったら? 心証はあっても物証はなく、糸口を探す道も漠然としている。 それでも黙って返すことも難しい。 その上、盗まれた側では贈り物にもらったものとして略奪ではないと言っているではないか。

 この頃、韓国文化財関係者らがこのような贓物ジレンマに陥った。 問題の贓物は昨年10月キム・某(69)氏など国内文化財窃盗団が日本対馬の古刹 観音寺から盗んで国内に密搬入した後に売ろうとしたが、先月押収された搬出文化財中の一つである14世紀高麗時代の金銅観音菩薩坐像。 忠南(チュンナム)瑞山(ソサン)の浮石寺(プソクサ)に祭られて、真相不明の経緯を経て日本に流出したこの仏像は、目鼻立ちがはっきりして細部彫刻が優れた高麗仏像の基準作品だ。 日本の長崎県指定文化財でもあるこの仏像に対して26日、大田(テジョン)地方裁判所民事21部(裁判長 キム・ジンチョル)が返還禁止仮処分決定を下し論難がより一層大きくなった。

裁判所、仏像移転禁止仮処分決定
"仏像所有権 調べてみる見る必要がある"
寺側 "浮石寺(プソクサ)所有 明確に確認"

 今回の判決は現 浮石寺(プソクサ)(住職 チュギョン)側が国家を相手に提起した有体動産占有移転禁止仮処分申請を受け入れたものだ。 裁判所は「仏像の所有権が、保管してきた日本の観音寺にあるのか、記録に残っている浮石寺にあるのか法律的に調べて見る必要がある」と説明した。 これに伴い、仏像を傘下の大田(テジョン)国立文化財研究所に保管中の文化財庁は、所有権論議が整理されるまで日本に仏像を返還できなくなった。 略奪の根拠が明白でなく、贈り物の可能性もあるとし返還賛成の立場を明らかにした一部学界研究者らと仏像の還収を主張してきた浮石寺および大韓仏教曹渓宗(チョゲジョン)の間の攻防もまたより一層熱くなるものと見られる。 すでに浮石寺側は今月初めに信徒会を中心に‘金銅観音菩薩を本来の場所に迎える推進委’を構成し、曹渓宗支援の下に本格的な還収運動に入った状態だ。

 文化財庁は先月の仏像押収当時、駐韓日本大使館から返還要請を受けた事実を公開し、国際協約などにより日本側の所有権が明確な場合には返還するという立場を示唆した経緯がある。 しかし浮石寺側は仏像の腹の中から出てきた発願文に‘天暦3年(1330年)高麗瑞州浮石寺(プソクサ)’で作ったという銘文が出てきた点を根拠に還収を主張し、日本への返還に反対してきた。 浮石寺側は仮処分申請文で 「1330年に作られ浮石寺に安置されたという腹蔵銘文を通じて当初の所有者が確認できる。 倭寇の侵略が始まる頃である1330年代以後の高麗-日本の関係で仏像を自発的に日本に伝えたわけがない。 観音寺側は仏像が正常に引き渡された事実関係を立証しなければならない」と主張している。

 実際、銘文を見れば、「観音尊像を作り寺に奉安し永遠に供養するよう誓願する」という内容が書かれており、観音寺側に仏像を移したという記録はない。 仏教美術史学者であるムン・ミョンデ東国(トングク)大名誉教授は、このような銘文記録に基づいて倭国の西海岸(ソヘアン)侵奪が深刻だった1370年頃に略奪されたと推定し、明確に還収しなければならない対象だと規定してもいる。 結局、裁判所側は今回の決定で浮石寺側の主張の一部を受け入れて、600余年前に倭寇の略奪により仏像が強奪された否かを立証し、所有権関係を明確にしなければなければならないと注文したわけだ。

 問題は浮石寺仏像の場合、その後の強奪有無を確認する過程が簡単ではなく、長期化する可能性が大きいという点だ。 1986年に頒布されたユネスコ傘下国際博物館協議会(ICOM)倫理綱領と1970年に採択された文化財不法搬出入および所有権譲渡禁止と予防手段による協約を見れば、(流出)文化財の出処(所蔵)地国家から文化財が不法流出しなかったということを立証するために発掘・製作時点以後のすべての経緯を立証することを義務化している。 国際協約上、菩薩座像の流出経緯を把握することが前提だが、600余年前の流出経緯を直接示す遺物・遺跡や文献は全く残っていない。 調査に着手しても満足できる糸口を探せる可能性は現在としては非常に不確かだというのが国内の相当数の研究者の指摘だ。

仏像返還が長期にわたり延ばされれば
日本国内の韓国流出文化財 数万点
実態調査 接近封鎖の憂慮も

 実際、高麗仏画の中で最大である日本九州の佐賀県にある鏡神社所蔵の<水月観音図>もこの地域が倭寇の本拠地だったという点で14世紀に略奪されたものという推定がたびたび出ているが、確実な端緒がなく日本側の所有権を学界が事実上認めた状態だ。 今回、窃盗犯が一緒に盗んで国内に搬入したもう一つのわが国仏教美術史の名品である対馬海神神社所蔵の9世紀金銅如来立像の場合は銘文記録さえなく、この遺物は直ちに返還し、高麗菩薩座像だけの所蔵経緯を調査することは公平性にそぐわないという指摘もある。 仏像研究者であるミン・ビョンチャン国立中央博物館展示課長は「所有権が確定していない状態で問題の仏像返還が長期にわたり延ばされる場合、6万点を超える日本国内にある韓国流出文化財に対する実態調査と遺物に対する接近自体がより一層封鎖される状況になるのではないかを学界で心配している実状」と語った。

 日本に流出したわが国の文化財を国内に密搬入し、外交的問題に飛び火したケースは以前にもあったが、まともに解決された前例は少ない。 2004年、ある巫俗人らが日本兵庫県の寺刹 鶴林寺から高麗仏画<阿弥陀三尊図>を盗んで事業家らに売った事実が摘発され、日本の寺が直接関係者を派遣し返還を要請するなど少なくない波紋を起こした。 検察は所蔵者が大邱(テグ)のある寺刹庵に絵を寄贈した事実を把握したが、庵側が 「保管中、再び盗難に遭った」と明らかにし、絵の行方も探せずに日本側に‘所在把握不能’と通知したのを最後に未解決として残った。 1990年代にも日本神戸の収蔵家の自宅から韓国内の窃盗犯が高麗青磁を盗み出し国内で売り摘発され、青磁を日本に返還した先例があるが、今回の高麗仏像とは性格が多少異なる。

 一方、日本の言論は韓国裁判所の仮処分決定をいっせいに報道し関心を示した。 公営放送NHKは裁判所の決定内容を詳細に伝え、「仏像を返還させるには対馬観音寺側が韓国の寺から仏像を正当に取得したことを証明せざるを得ず、対応が容易でなくなった。 返還に時間がかかる可能性が強まった」と伝えた。 <産経新聞>も「仏像返還が遅れれば外交懸案に発展する心配がある」と報道した。 この新聞は「日本政府は文化財不法輸出入禁止条約に基づいて仏像の返還を要請する方針だ。 韓国政府や裁判所は条約履行と仮処分決定の遵守義務のどちらを優先するか検討に入ったようだ」と伝えた。

ノ・ヒョンソク、ソン・インゴル記者、チョン・ウイギル先任記者 nuge@hani.co.kr

韓国語原文入力:2013/02/27 20:17
http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/575844.html 訳J.S(3258字)

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