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[社説] スタッフなしでは映画はできない、基本契約を遵守しよう

登録:2013-01-19 10:16 修正:2013-01-19 10:27

 過去1年に所得のあった映画スタッフの平均賃金は年間1107万ウォンだったという。大企業の大卒新入社員の賃金の3分の1に過ぎず、法定最低賃金にも至らない。衝撃的なことは3年前の調査時より114万ウォンも減ったという事実だ。その間に韓国映画は観客1億人を突破したが、舞台の後方にいるスタッフの生活はいっそうすさんだ。どれほどひどければ、香港俳優のサイモン・ヤム(任達華、‘泥棒たち’出演)が 「韓国映画にまた出演する機会があれば、私のギャラを割いてでもスタッフたちに分ける」と語るだろうか。

 実態を掘り下げてみれば、スタッフの生活だけでなく、韓国映画自体が暗くなる水準だ。十人に四人は映画で稼ぐ年収はわずか500万ウォン以下だった。1年に5ヶ月程度は失業状態になるが、失業手当を受けている雇用保険加入者は十人に三人に過ぎず、しかも法定労働時間(週40時間)を超過する75時間も働いているのに、超過勤務手当てをもらった人は十人に一人もいない。仕事に対する満足度は普通以上であるにもかかわらず、十人に四人は転職を希望している。生活費以下の所得と将来に対する不安をその原因に挙げる人が九割だ。映画制作を現場で支える30代半ばの専門的スタッフが映画界から去りつつある。韓国映画の一つの軸が揺れているわけだ。

 トップスターの出演料と広報宣伝に注ぎ込まれる費用を考えれば、スタッフのやる気は一層失せる。制作費のうち、出演料費用、広告宣伝費および渉外費が先に決められ、最後に策定されるのがスタッフの人件費だ。ギャラが高く、広報宣伝費が増えれば自然とスタッフ人件費は減る。制作費10億ウォン未満の映画を除けば、韓国映画一編あたりの平均制作費は50億ウォン程度で、純制作費は33億ウォン程度だ。このうち10億ウォンが人気俳優のギャラだと言うから、平均100人に達するというスタッフたちの人件費を上回っている。

 映画は、俳優はもちろん撮影、編集、コンピュータグラフィック、特殊効果、美術、サウンド ミキシンギ、照明など大勢のスタッフの働きにより作られている。脇役やスタッフにひもじい思いをさせておき、良い映画が作れるはずはない。今や制作者と投資家の考えを変えるべき時だ。映画界の労使政委員会である映画産業協力委員会は2011年、4大保険加入、超過勤務手当支給、契約期間の明示等を含む基本勤労契約書を策定した。最低レベルの内容を盛り込んだだけなのに、これに従っている制作会社は殆どない。政府はもちろん投資・配給会社も乗り出すべき時だ。制作会社を初めとして、これに従うよう監督し支援もすべきだ。今のままではスタッフはもちろん制作、投資、配給会社の全てを苦しめることは不可避だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/570325.html 韓国語原文入力:2013/01/18 19:13
訳T.W(1261字)

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