この頃、日本の株式保有者に笑顔が溢れている。 東京証券取引所の日経指数が最近2ヶ月間に25%ほども上がった。 政府が中央銀行を圧迫し金融を果敢に解かせて財政支出も大きく膨らませる、いわゆる‘安倍ノミクス’で内需が良くなり、日本円の価値が下がり輸出も増えるだろうという期待ゆえだ。
日本経済は内需不振にデフレーション(物価下落)が固定化して、長く不況のドロ沼から抜け出せずにいる。 家計の消費余力が不足したからだ。 安倍ノミクスは、それが簡単に解決しないからと、すでに何度も手を付けた麻薬を再び求めているように見える。 それに伴う副作用は日本が耐えることになるが、そのような政策が韓国経済にも得にはならない。 両国の企業は輸出市場で競争関係なので、通貨価値が下落した側が価格競争で有利になる。 昨年100円当り平均1400ウォンを超えていた日本円の価値が今は1200ウォン内外だ。 米国金融危機に続きヨーロッパ財政危機で日本円の価値が高どまりしながらかなり長期に渡り太平歌を歌っていた韓国輸出企業にとって好い時節は終わろうとしている。
偶然にも、韓国の歴代新政府は世界経済環境がかなり難しい時にスタートしたりした。 今回もかなり深刻に見える。 米国、ヨーロッパの諸大国が国家財政に支障が起きている。 金を借りて景気浮揚をするどころか、腰のベルトをきつくしめなければならない境遇だ。 すなわち死の病にかかったということではないが、簡単には回復も難しい。 国家負債比率が200%を越える日本も実際は危険だ。 輸出比重が高いわが国経済の展望も暗く、今年の経済成長率は2%台に落ちる公算だと言う。
韓国経済政策の核心は依然として‘重商主義’だ。 資源がないので輸出で暮らさなければならない、という考えは今も政策決定者の思考を支配している。 財閥系輸出大企業が押したり引いたりしてきた政策だ。 輸出主導型成長に対する未練は高成長時代が終えられた後にむしろ更に深刻だった。 企業には税金を割り引き、価格競争力を高めて、攻撃的に自由貿易協定を結び市場を開いて、韓国ウォンの価値をできるだけ安く維持する総力戦が続いた。 その結果、我が国の貿易が国内総生産に占める比率は、外国為替危機が起きた1997年の54.4%から2011年には110%まで上がった。 輸出大企業は高成長を継続したが、内需は振るわず、貧富格差と貧困、家計負債は急速に拡大した。 輸出増大のために動員可能な手段をほとんど全て使ってしまって、もうそのような形の成長は限界にぶつかっている。
我が国の人口は5000万人に近く、世界25位だ。 内需市場がそれほど小さくはない。 2011年我が国の名目国民総所得は2002年に比べて72.5%増加した。 ところで同じ期間に家計の可処分所得は64.6%、民間消費支出は60.23%の増加に終わった。 わが国の経済の突破口がどこにあるかをこの数値がよく示している。 分配の改善を通じた内需市場の拡大なしには、わが国の経済の活力は回復し難い。 働く人に持分がさらに多く戻るようにして、彼らがより充分に使えるようにしなければならない。 生産性を高めて新しい市場を切り開き輸出を増やすのは良いことだが、輸出のために内需部門を犠牲にすることは止めなければならない。 今すぐにでも輸出至上主義から抜け出さなければならない。
チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr