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[社説] キム君事件1年 実習生の奴隷状態は変わっていない

登録:2013-01-15 17:29 修正:2013-01-16 00:20

 2011年12月、起亜(キア)自動車光州工場の現場実習生 キム君は作業中に倒れ今も意識不明の状態だ。キム君の事件から1年後、京畿道軍浦にある金型工場の実習生であるパク君は機械に指が巻き込まれた。彼は労災申請もできなかった。蔚山の実習生ホン君は夜間残業中に海上建設現場で失踪して死亡した。 キム君の悲劇が起きて一年になるが、特性化高校3年生の実習現場は改善されていない。事故だけで見れば、むしろさらに悪化している。

 キム君の事故は高校生の現場実習における各種問題を見せる陳列台だった。実習生は週46時間以上、夜間および休日の勤務をしてはならない。しかしキム君は週54時間、夜昼2交代および週末の特別勤務を強いられていた。デザイン専攻だったが成人労働者でも忌避するペイント塗装の仕事につかされていた。報酬は一般賃金の半分にもならなかった。パク君の基本契約書には週5日、一日8時間勤務で130万ウォンを受けとれることになっている。しかし一日2~4時間の残業は普通で、週末特別勤務もしなければならなかったが、給与はせいぜい70万~90万ウォンだった。事故に遭ったにも拘らず会社も学校も労災申請を忌避した。軍浦のパク君に対し、学校は勤めを続けることを勧めるだけで、義務事項である教育庁への事故報告もしていなかった。蔚山のホン君は勤務現場で夜間に事故が発生して亡くなった。

 その原因は政府の歯止めない短期実績主義を抜きしては考えられない。過度な大学進学率による社会問題を解決するために政府は高卒就職率のアップに目をつけた。権力のキャンペーン効果で就職率が一時的に上昇し、昨年は通常40%台であった特性化高校の卒業生の就職率目標を60%に上げた。学校としては就職率によって評価され支援金が決定されるために、現場実習に1人でも多く送り出すように努めた。実習の条件などを確かめるどころではなかった。企業が嫌がる勤務および実習の内容・賃金・健康状態などの確認を行うようにする現場指導もほとんどしなかった。事故はもとよりセクハラなどの問題が発生しても学生にがまんして働けと勧めるほどだった。学校ができなければ雇用労働部がしなければならないが、労働部もまた問題に気づいていながら是正しようとしなかった。1年前の調査で、3分の1の現場で超過・夜間・休日労働が行われているということを把握していながら正さなかった。

 実習生は大学進学をあきらめて、夢の半分をあきらめた生徒たちだ。現場実習が残り半分の夢までつぶしてしまうことを放置するわけにはいかない。政府当局もその解決方法をよく分かっているはずだ。すでに合意している勤労条件や教育的統制の原則がある。この最小限の基準さえ守れないならば現場実習は廃止すべきだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/569598.html 韓国語原文入力:2013/01/14 19:15
訳T.W(1276字)

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