本文に移動

[社説] 大統領職引継ぎ委 幹事の見識不足が露呈した対北強硬発言

登録:2013-01-08 23:38 修正:2013-01-09 08:20

 大統領職引継ぎ委員会のキム・ジャンス外交国防統一分科委幹事が一昨日、朴槿恵政府の外交安保政策に関連して数点の重大な発言をした。彼は業務引継ぎ委員会の出入り記者団との席で北朝鮮の長距離ロケットの対応策に関連して "国際社会の協力を通じた制裁などの孤立政策を進めなければならない。周辺国との協力のほかに代案がない" と話した。また昨年の韓-米ミサイル協定改正で射程距離が800kmに延びた弾道ミサイルの早期実戦配置の方針を明らかにした。全て北朝鮮に対する強硬策を示唆する内容だ。

 キム幹事の発言は、彼が大統領選に当選した朴氏の外交安保政策を総括する外交国防統一分科委幹事という地位にあるという点やキム・ヨンジュン引継ぎ委員長の緘口令のもとでなされたという点から重みを持たざるをえない。それほど覚悟して発言したのなら朴氏の思いを代弁したと解釈しても無理はないはずだ。

 しかし彼の発言は選挙中に朴氏が公約した‘韓半島の信頼プロセス’の政策とは流れが合わない。朴氏が前面に出した信頼プロセスの核心は、李明博政府の圧力一辺倒の対北朝鮮政策を批判して、南北間の信頼形成のためならば前提条件を付けずに金正恩北朝鮮労働党第1秘書とも会えるということだ。朴氏側は信頼プロセスとキム幹事が話した対北朝鮮孤立政策がいかなる関係にあるかを明らかに説明する必要がある。それでこそ北朝鮮をはじめとする周辺国の誤解を避けることができる。

 このような点だけでなく、キム幹事の発言は国際情勢に照らしてみた時、思慮に欠けるものだった。 現在、米国のオバマ大統領は対北朝鮮 協商派であるジョン・ケリー上院議員とチャック ヘーゲル前上院議員を第2期行政府の国務長官と国防長官に指名している状態だ。2人とも北朝鮮の挑発行動にもかかわらず直接対話の必要性を主張する人々だ。 対北朝鮮政策は我が国が主導しても米国と緊密な協調・協力なしにはうまく進まないのが現実だ。また執権2年目に入った北朝鮮の金正恩第1秘書も今年の新年のあいさつで、対話を念頭に置いた融和のサインを送っている。

 キム幹事が果たしてこのような微妙な情勢まであまねく考慮して、対北朝鮮強硬発言を述べたのか疑問だ。もしそうでないなら、彼の見方は外交安保政策を総括するには極めて狭いと指摘せざるをえない。国家の安全を左右する外交安保は、単純に相手と戦って制圧しようとするような軍事論理だけでは確保できない。安保を確固としながらも周辺情勢の流れに合わせて柔軟に対応する戦略と知恵を持たなければならない。いまだに国防長官のレベルで対北朝鮮の政策を考えているようなキム幹事は心配される。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/568778.html 韓国語原文入力:2013/01/08 19:18
訳T.W(1235字)