チャン・ジュナ先生37周忌を迎えて他殺疑惑が再点火されたことと関連して、朴槿恵セヌリ党大統領候補は「真相調査委員会で現場目撃者などに対する調査がこれまでになされたではないですか?」と真っ向から対立した。 しかし同党のチョン・ウイファ議員は13日自身のツイッターを通じて「法医学者による遺骨検査の結果、新しい証拠が出てきたので再糾明調査することが当然だ」として、政府に再調査を要求した。 事実疑問死委調査当時、機務司令部は調査の度に‘保管資料なし’と答えた。 当時の調査官らは国家情報院など情報機関からついに協力を得られず、保管文書の確保とともに遺骨鑑定を課題として残すためにひとまず‘真相究明不能’と決めることになったと話している。 チャン先生の遺骨からその疑惑が明確に現れた今、この事件の全面再調査はあまりにも当然の要求だと彼らは主張する。
数多くの真相究明委員会ら
保守勢力の妨害で権限制限
‘米帝’人権侵害事件 多数
"過去事 清算こそがすなわち国民統合"
1990年代光州(クァンジュ)5・18事件裁判から始まって我が国には数多くの過去事関連委員会が設置され、過去に隠蔽された人権侵害事件に対して多くの真相調査も行われたが、なぜ未だにこのような問題が提起されるのだろうか? 2010年真実和解委員会が活動を終了し、その決定により過去のスパイでっち上げ事件、韓国戦争期の民間人犠牲事件などの被害者が裁判所の再審決定と補償措置により若干の名誉回復を得たことも事実だ。 しかし調査権限と活動期間の制約のために多くの人権侵害事件が未解決課題として残ったし、申請期間の制限により韓国戦争被虐殺遺族たちは申請すらできなかった。 過去事財団設立、補償・賠償関連特別法と遺体発掘と永久安置施設設置のための特別法制定なども勧告されたが、実現したことは一つもない。 その上、政府の政策がない中で裁判所は事件別に判決を下しており公平性の問題も深刻だ。
2004年8月、盧武鉉大統領によって包括的過去清算の必要性が提起され、過去の人権侵害事件調査特別委構成が議論されるや当時朴槿恵 ハンナラ党代表は「親北左翼行為も調査しよう」と対抗し、過去事法はボロボロになった。 真実和解委員会も過去人権侵害を調査する機構としての性格が著しく退色してしまった。 多くの過去事関連委員会が活動したにも拘らず、これほど残された課題が多い理由は、これまで国会の多数を占めてきたセヌリ党が過去公権力の過ちを明らかにしようとする作業を頑強に拒否し、この問題を左右対立構図に追い込んだり調査権限を極度に制限して最小限の嘆願処理だけを担当する機構に変質させることによって、加害者の処罰と真相調査結果の完全な公開を難しくさせたためだ。 保守言論はこの委員会の活動に対してことごとにケチをつけ、その成果を握りつぶした。 それゆえに国民もこの委員会がどのような真実を新たに明らかにしたのか、ほとんど知らないままに鬱憤に満ちた被害者たちの怨念解消程度に考えているだけだった。 その結果、李明博政府になって公安機関の違法、検察の政治化、民間人査察などの旧時代的な動きが再発することになった。
結局、韓国戦争期民間人虐殺の責任者をはじめとして維新時代以後に人権侵害を行った国家情報院・機務司・検察・警察組織の主役らが依然としてこの社会の政治・司法・言論を掌握している限り、過去の清算が順調に行われることは容易ではない。 しかしこの懸案が単純に過去を再び暴くことではなく、公権力による人権侵害の可能性を最小化し、真の国民統合のための道になるという事実をより多くの国民が自覚しさえすれば問題は容易になる。
「これ以上、まだ調査することがあるのか」と尋ねる人がいるかも知れないが、私は国民の誰もが知っている光州(クァンジュ)5・18事件被害の実態調査もきちんとなされておらず、加害者の糾明もできていないと答えられる。 そして抗争の主役たちとその家族は依然として生活苦とトラウマに苦しめられているのに、加害者らは天寿をまっとうしているではないか?
私は小規模でも良いから政府や国会に民間人参加の常設過去事機構が作られなければならないと考える。 この機構は未完の調査作業を継続し、被害者の名誉回復などの後続事業を管掌しなければならない。 加害者の法律違反事実が確認されれば応分の処罰を受けさせなければならない。 これが最も少ない費用で無念に生涯を生きてきた国民を慰め、社会統合を達成できる道だ。 韓国はアジアで過去清算を最も模範的にした国家に属する。 その成果を足で蹴飛ばすことなく、きちんと終えてアジアのドイツにならなければならない。 そうすれば韓国は自身の過去を否認する日本に対して強く叱りつけることができ、将来アジア人権国家として指導力を発揮できるはずだ。
キム・ドンチュン/聖公会(ソンゴンフェ)大教授