米国とイランが2週間の停戦を発表したその翌日から相手側の合意違反を主張し、停戦体制が揺らぐ様相を呈している。交渉準備は進んではいるが、争点の中心である「ホルムズ海峡・イランのウラン濃縮・レバノン空爆」をめぐる条項の解釈が食い違い、それにともなう軍事行動が続いており、「不安定な停戦」が続いている。
イランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は8日(現地時間)、ソーシャルメディアのXに「米国は約束違反を繰り返してきており、今回も同じパターンが繰り返された」として、「交渉の土台となった10項目の提案のうち、3つの中心条項にすでに違反した」と主張した。ガリバフ議長は「レバノン戦線の即刻停戦の未履行」「イラン領空に対する無人機の侵入」「ウラン濃縮の権利の否定」を問題点として指摘し、「このような状況下での交渉は非合理的」だと述べた。
特に、レバノン戦線が停戦の最大の火種とみられている。イランと仲裁国パキスタンは、レバノンも含んだ「包括的停戦」と理解している一方、米国とイスラエルはこれを否定している。米国のJ・D・バンス副大統領は「そのような約束はなかった」と主張し、「イランがこれ(レバノン)も含まれると理解したのは誤解」だとして、その解釈を退けた。
イスラエルも同様に、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラは停戦の対象ではないとする立場を改めて確認し、この日、レバノン全域に停戦後では最大規模の空爆を行った。これにより250人あまりが死亡し、1100人あまりが負傷した。ヒズボラはイスラエルの合意違反を主張し、停戦合意後初めてイスラエル北部にロケットを発射した。クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアに対するイランのミサイル・ドローン攻撃も再開された。
争点の中心である終戦条件をめぐる立場の違いも明らかになりつつある。イランはウラン濃縮の権利の認定と制裁解除、米軍の中東撤収などを含む10項目の提案を交渉の土台として主張しているが、ホワイトハウスはこれを「文字通り、クズかご行きとなった」として強く否定した。ホワイトハウスはその後、イランが修正した別の提案だけを交渉の出発点とみなしており、特に「イラン国内のウラン濃縮の中断」は絶対に譲歩できないレッドラインだと強調した。ドナルド・トランプ大統領は、ソーシャルメディアを通じて、「追加の弾薬・兵器およびその他すべての物資を含め、米国のすべての軍艦、軍用機、兵力は『真の合意』が完全に履行されるまで、イランとその周辺地域に駐留を続ける」としたうえで、「合意が履行されなければ、これまで誰も見たことがない規模でさらに強力かつ効果的な『発砲』が始まるだろう」と脅した。
ホルムズ海峡をめぐる対立も深刻化している。米国は海峡の「即時かつ無制限の開放」を停戦維持の中心条件として前面に出しているが、イランは「代替航路」を指定するなど、統制権を強化する動きを示している。ウォール・ストリート・ジャーナルとフィナンシャル・タイムズによると、イランは1日の通過船舶数を10隻前後に制限し、通行料の徴収案を推進している。実際、停戦後に通過船舶数は急減し、戦争前には1日100~140隻に達していた通行量が、1日3~4隻程度にまで減少するなど、海峡の正常化は進んでいない。
ただし、ニューヨーク・タイムズは、外交官やイラン専門家の分析を引用し、「双方ともに停戦を維持する動機が存在する」として、「イランは5週間の戦争による軍事・政治的被害の負担が大きく、トランプ大統領も支持層内の意見対立や石油価格の上昇リスクのもとで、全面戦争の拡大を望まない可能性が高い」と分析した。