タイのタンカーが、イランに別途費用を支払うことなく、ホルムズ海峡を安全に通過した。中国船籍の液化石油ガス(LPG)タンカーもホルムズ海峡を通過した。イラン外務省は先日、国際海事機関(IMO)加盟国に書簡を送り、同国と事前に調整した「敵対的でない船舶」に限り、ホルムズ海峡の通過を許可する方針を明らかにしたという。
タイのエネルギー企業「バンチャック・コーポレーション」は現地時間の24日、自社ウェブサイトにて声明を発表し、前日に自社所有のタンカーがホルムズ海峡を安全に通過したと明らかにした。バンチャックは11日からペルシャ湾で足止めされていた同船が、タイ、イラン、オマーンの協力により通行できるようになったとして、謝意を表した。
タイの現地メディア「バンコクポスト」の25日付の報道によると、タイ外務省とバンチャックは、同タンカーがイランに対して一切の代償を払わずにホルムズ海峡を通過したと述べた。シーハサック・プアンゲートゲーオ外相は、イランのナセレディン・ヘイダリ駐タイ大使にタンカーの通過を要請しており、「彼らは自分たちで処理すると答え、通過させる船舶の名前を求めた」という。シーハサック外相は、タイ企業「SCGケミカル」所有の別の船舶もホルムズ海峡通過の許可が出るのを待っていると述べた。
タイのイラン大使館もXへの投稿で、「我々がホルムズ海峡が封鎖されていないと言えば、実際にそうだという意味だ」とし、「はっきり言うと、友好国には特別な枠組みが用意されている」と明らかにした。
これに先立ち、イラン革命防衛隊は11日、警告を無視してホルムズ海峡を通過しようとしたタイ船籍のマユリナリ号を攻撃した。飛翔体の攻撃を受けた船が炎に包まれた際、救命艇に乗って脱出した乗組員20名は無事に救助されたが、機関室に閉じ込められたとみられる残りの乗組員3人は行方不明となっている。
中国企業が所有するLPGタンカーの「ラッキーガス」も、24日にホルムズ海峡を通過したと、香港の「サウスチャイナ・モーニングポスト」が25日付で報じた。パナマ船籍の同船は、香港に登録された船舶会社「順航(Shunhang)」が所有している。
中国企業が所有する船舶がホルムズ海峡を通過したのは今回が2回目。6日にホルムズ海峡を通過した中国企業所有のパラオ船籍の「ダヌタ1」は、イラン製アンモニアを輸送した疑いで先月米国の制裁対象となった、いわゆる「影の艦隊(ダークフリート)」の船舶だ。サウスチャイナ・モーニングポストは情報筋の話として、「ラッキーガスは今月中旬にイランが安全な通過を提案した後、ホルムズ海峡を通過した最初の船舶」と報じた。
同紙は、中国の大手海運会社「コスコ」の子会社である「コスコ・シッピングライン」が、25日からアラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、カタール、クウェート、イラクなど中東の港への予約を再開したと報道した。
一方、英国日刊紙「フィナンシャル・タイムズ」は24日、イラン外務省がIMO加盟国に送った書簡で、「侵略者とその支持者がイランを標的とした敵対作戦を実行するためにホルムズ海峡を悪用するのを防ぐため、比例的な措置を取った」とし、事前に調整された「非敵対的船舶」に限り、ホルムズ海峡の通過を許可すると明らかにした。
現在、湾岸海域に足止めされている船舶は約3200隻に上り、開戦以降少なくとも22隻がイランの攻撃を受けている。一部の船舶は安全確保を条件にイラン側へ最大200万ドルを支払ったと、フィナンシャル・タイムズは報じた。韓国の船舶も12隻が係留されているという。
サウスチャイナ・モーニングポストも、イランの通行料についての相反する説明により海運業界は依然として緊張状態にあると報じた。イラン議会の国外政策・国家安全保障委員会所属のアラエディン・ボルジェルディ議員は22日、「イランはホルムズ海峡を通過する船舶1隻につき200万ドルの通行料を課す」と述べた。しかし翌日、インドのイラン大使館は「この発言はあくまで個人の見解を反映したものであり、いかなる場合でもイラン・イスラム共和国の公式見解を代表するものではない」と説明した。
そのため、各国はイラン政府側と直接接触し、自国の船舶が通行する道を模索していると同紙は報道した。マリン・トラフィックは24日、Xへの投稿で「イランは全面的な混乱を引き起こすよりも、選択的に通過させる綿密な戦略を駆使しているものとみられる」と分析した。
韓国政府は、米国とイランの交渉の可能性など情勢を注視しつつ、韓国だけでなくホルムズ海峡を利用するすべての国の船舶の安全な航行を保証すべきという立場を保っている。イランと別途協議して韓国船舶の通過問題を扱うよりも、国際連帯の枠組みの中でイランの変化を求めている。チョ・ヒョン外交部長官は同日、「緊急経済対応体制」の稼働に関する会見で、「果たしてホルムズ海峡を通過できるか、イランの航行安全がすべての人に確保されるかなど、さまざまな点を総合的に検証すべきだ」とし、「それについての判断を(今)下すのはまだ早い」と述べた。
一方、英国とフランスは、ホルムズ海峡の再開に向けた共同任務を構築することを目指し、今週共同で会合を主宰する予定だと、AFP通信が報じた。同会合には約30カ国が参加する見込みだという。