本文に移動

「社会主義者ニューヨーク市長」の誕生…急進的な声が主流政治に編入する分岐点

登録:2025-11-06 06:43 修正:2025-11-06 07:19
イスラム教徒の34歳のマムダニ氏、クオモ氏を10ポイント近くを引き離す
民主党のゾーラン・マムダニ候補が4日(現地時間)、ニューヨーク・ブルックリン自治区のブルックリン・パラマウントで開かれた選挙当日の開票パーティーで舞台に上がり、勝利を祝っている=ニューヨーク/AFP・聯合ニュース

 世界の資本主義の「心臓」であるニューヨークが、社会主義者の市長を選んだ。自らを「民主的社会主義者」と呼ぶイスラム教徒のゾーラン・マムダニ・ニューヨーク州下院議員(34)は、4日(現地時間)に行われた市長選挙で、2位の候補を10ポイント近い得票率の差で引き離し、第111代ニューヨーク市長に当選した。マムダニ氏の当選は、人種差別、貧富格差など米国社会の多くの問題に急進的代案を求める声が主流に編入される分岐点になるものとみられる。来年の中間選挙だけでなく、その後の米国政治全般に深い影響を及ぼす見通しだ。

 マムダニ氏は5日、91%の開票率現在で103万票(50.4%)を獲得し、85万票(41.6%)の無所属のアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事(67)を大幅に上回った。共和党候補のカーティス・スリワ氏(71)は14万6000票(7.1%)にとどまった。米国のマスコミが投票終了30分余りで先を争って彼の当選を発表するほど、余裕のある勝利だった。

 投票の熱気もこれまでにないものだった。ニューヨーク市選挙管理委員会によると、200万人を超えるニューヨーク市民が投票に参加しており、これは最近50年間で最も高い投票率を記録した。事前投票者数も73万5317人で、大統領選挙を除けばニューヨーク市史上最も高かった。2021年のニューヨーク市長選挙の際、事前投票者数は約17万人だった。

 1年前までは政治的存在感がほとんどなかったマムダニ氏は、高騰する生活費問題に集中し、6月の民主党党内予備選挙でクオモ前ニューヨーク州知事を破る異変を引き起こした。選挙運動期間中、「住居・生活費負担の緩和」を中心議題として掲げたマムダニ氏は、公共保育、無償市内バス、市立食料品店設立など、庶民生活を支援する政策を主要政策として掲げた。年間所得100万ドル以上の高所得者に2%の税率引き上げも主張してきた。戦略的なソーシャルメディアの活用も選挙で功を奏した。

 マムダニ氏の公約について「現実性に欠ける」という批判も多い。公共サービスの拡充のための増税カードは、ニューヨーク州議会と州知事の承認が必要だ。生活費軽減のための対策が経済理論に対する誤った理解に基づいているという指摘もある。2021年から任期2年の州下院議員に3回連続当選したのが唯一の公職の経歴であるため、「経験不足」というレッテルを克服するのも課題だ。

 アフリカ・ウガンダ生まれで2018年に米国市民権を取得したマムダ二氏には、大統領選挙の出馬資格がない。しかし、彼の当選は民主党内の民主社会主義者グループに大きな動力を提供するものとみられる。民主党は来年の中間選挙を控えて「民主党の未来はどこにあるのか」をめぐり激しい内部闘争に陥る可能性がある。

 マムダニ氏の当選で様々な記録が立てられた。マムダニ氏は最初のムスリムおよび南アジア系の市長であり、1974年に就任した英国生まれのエイブ・ビーム市長以来、約50年ぶりに移民出身の市長になる。1914年のジョン・ピューロイ・ミッチェル以後、2番目に若いニューヨーク市長でもある。

ニューヨーク/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1227539.html韓国語原文入力:2025-11-05 16:20
訳H.J

関連記事