イスラム武装組織ハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル氏が死亡した可能性があると、イスラエル軍が17日明らかにした。
イスラエル軍は同日、パレスチナのガザ地区での作戦で除去したテロリスト3人のうちにシンワル氏が含まれている可能性があるとし、現在確認中だと明らかにした。
イスラエル軍はラジオで、ガザ地区南端のラファでイスラエル軍が作戦中にハマスの武装隊員3人を殺害したが、死亡者のうち1人が外見がシンワル氏のように見え、DNA検査を進めていると伝えた。タイムズ・オブ・イスラエルは、イスラエル軍と武装隊員の戦闘は16日に行われ、翌日の17日、イスラエル軍が半分ほど崩れた建物の中でシンワル氏と思われる人物が死亡しているのを発見したと報じた。ソーシャルメディアには、シンワル氏とみられる人物の遺体の写真が出回っている。イスラエルのメディアによると、シンワル氏の居場所の情報をイスラエル軍が入手して攻撃したのではなく、偶然発見したものとみられるという。シンワル氏がイスラエルの人質を盾にしているという予測もあったが、シンワル氏と思われる人物が発見された場所にイスラエルの人質はいなかった。イスラエルのメディアは、シンワル氏と一緒にいた人質はすでに処刑された可能性があると報じた。
タイムズ・オブ・イスラエルは、匿名のイスラエル当局者の話しとして、がシンワル氏の死亡の可能性は「非常に高い」とみられると報じた。シンワル氏が死亡した可能性について、イスラエルは米国防総省にも知らせたと、米当局者の話を引用してロイター通信が報道した。
シンワル氏は昨年10月7日のイスラエルへの奇襲攻撃を設計した人物で、イスラエル軍の除去対象第1号だ。当時の攻撃でイスラエルで1200人が死亡し、250人が人質となり、ガザ戦争勃発の発端となった。
イスラエルへの奇襲攻撃を主導した当時、シンワル氏はハマスのガザ地区指導者だった。ハマスの政治最高指導者だったイスマイル・ハニヤ氏は7月31日、イスラエルによるものと推定される攻撃でイランの首都テヘランで暗殺された。シンワル氏は8月6日、政治指導者に選出され、ガザ地区と政治指導者を兼ねることになった。
シンワル氏は1962年にガザ地区南部のハンユニスの難民キャンプで生まれ、ハマスには1987年の創立時から参加。ハマスのセキュリティおよび情報組織で活動した経歴があり、この時期にイスラエルに協力したパレスチナ人を摘出して殺害したことで「ハンユニスの屠殺者」という悪名もついた。殺人および破壊工作などでイスラエルの刑務所で23年服役した。
シンワル氏は2011年、ハマスに拉致されていたイスラエル兵士ギラード・シャリットが、イスラエルに収監されているパレスチナ人約1000人と交換で解放された際に釈放された。
イスラエル軍はガザ戦争勃発以降、シンワル氏を「歩きまわる死者」と呼び追跡してきたが、彼を見つけることは度々失敗した。イスラエル軍はシンワル氏に対して懸賞金40万ドルをかけて追跡してきた。先月、シンワル氏が組織員たちと連絡を絶ったことで、エルサレム・ポストなどイスラエルのメディアを中心に死亡説が流れたが、後に事実でないことが明らかになった。
一方、シンワル氏死亡の可能性のニュースでイスラエル当局者らが沸いていたこの日、パレスチナのガザ地区北部のジャバリヤではイスラエル軍が避難民の集まった学校を空爆し、子どもを含め少なくとも28人が死亡した。