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米国「新型ATACMS、すでにウクライナに供与」

米陸軍によるATACMS発射の場面/AP・聯合ニュース

 米国は、ウクライナが要求してきた長距離ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」をすでにウクライナに供与し始めていることを遅れて明らかにした。このミサイルが実戦に使われたという報道も出ている。

 ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日、地対地弾道ミサイルの新型ATACMSを先月ウクライナに供与し、今後も送る予定だと明らかにした。米国はこれまで、射程距離が300キロの新型ATACMSはロシア領土への攻撃に利用される可能性があるなどの理由で送らず、射程距離の短い旧型ATACMSだけを供与してきた。

 サリバン補佐官は、新型ATACMSはウクライナ領土内でのみ使用されるとし、最近まで物量が不足していたが現在は相当量を確保したため、ウクライナにも供与できるようになったと説明した。また、「これはロシアが北朝鮮の弾道ミサイルを調達し、ウクライナに使用したことなどによるもの」とも述べた。米国は、ロシアが北朝鮮からミサイルを持ち込み、ウクライナ戦争に使用していると主張している。サリバン補佐官は、ウクライナに送ったATACMSの数については明らかにしなかった。

 こうした中、ウクライナ軍が17日、新型ATACMSをクリミア半島の内側160キロ地点にあるロシアの軍飛行場に向けて初めて発射したと、NBCが匿名の米国高官らの話を引用して報じた。また、23日夜にはウクライナ軍が南部のザポリージャ州を占領したロシア軍に向けてこのミサイルを使用したと伝えた。新型ATACMSは、ロシア軍が占領しているクリミア半島とウクライナ東部地域の奥深い地点の標的を攻撃できる手段だ。米国の官僚らは、ウクライナに供与したこのミサイルは多弾頭もあり単一弾頭もあると語った。

 サリバン補佐官が新型ATACMS供与を公開した日、ジョー・バイデン大統領はウクライナ支援予算610億ドルが含まれた安保支援法案に署名した。バイデン大統領はイスラエルと台湾に対する支援も含むこの法案に署名し、「数時間以内に」兵器がウクライナに供給されるだろうと述べた。米国防総省は、まず10億ドルをかけて携行型地対空ミサイル「スティンガー」、155ミリ砲弾、対戦車誘導ミサイル「ジャベリン」、クラスター爆弾などをウクライナに送ると発表した。

 サリバン補佐官は、米国などの持続的な支援に後押しされ、ウクライナ軍が有利な位置を守り「勝てるだろうし、きっと勝つだろう」と述べた。

 しかし、米政府の内外では、軍事援助予算の確保が戦況に大きな影響を及ぼすことはないという見方も出ている。政治メディア「ポリティコ」は、一部の米国の官僚らが、この数カ月にわたり安保支援法案処理が遅れ軍事援助が減ったことでウクライナ軍が守勢に追い込まれ、これを挽回するのは容易ではないという話をしていると報じた。匿名のある官僚は「当面の目標はウクライナ軍の損失を止めること」であり、その後で領土回復を追求できるだろうと述べた。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1138072.html韓国語原文入力:2024-04-25 19:53
訳C.M

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