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ロシア大統領選、スターリン政権の記録破りを狙うプーチン…80%の得票目標

24年以上の長期政権、今回の大統領選で80%の得票を目標 
ライバルは事実上皆無…ウクライナ戦の正当性を問う選挙
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領/AP・聯合ニュース

 今月15~17日(現地時間)、ロシアで第8代大統領選挙が開かれる。結果は決まっている。ウラジーミル・プーチン大統領(71)の「圧倒的」勝利だ。1999年12月31日に大統領権限代行として政権をとって以来、プーチン氏は実質的に権力を手放さなかった首相時代(2008~2012年)まで合わせて24年以上政権を握っている。今回の大統領選で当選し6年の任期を務めたら、ソ連を建国したウラジーミル・レーニンの死後「鉄拳統治者」として君臨したジョセフ・スターリン元共産党書記長の29年政権の記録(1924~1953年)を破ることになる。2020年の憲法改正で6年再任も可能になり、終身政権掌握まで視野に入れているという話が出ている。

 答が明らかな選挙であるにもかかわらず、プーチン政権は今回の大統領選に必死であり、これまで出たことのない得票率である80%以上を目標にしているという分析が出ている。ロシアの大統領選を控え、現地の事情に詳しい国内外の専門家を通じて、今回の選挙の意味と展望を探った。

 プーチン大統領が史上最高得票率を目標にしている理由は、今回の大統領選が、ロシアが第2次世界大戦後初めて動員令まで下し、国力を絞り出して進行中のウクライナ侵攻戦争の正当性を問う選挙だからだ。ロシア専門家であるカルム・フレイザー英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)研究員は、最近のハンギョレとの書面インタビューで、今回の大統領選挙がプーチン政権の「正当性」を強固にする「必須手段」だと指摘した。

 このため、政権の選挙介入の余地が大きいという懸念も出ている。フレイザー研究員は今回の選挙が「ソ連崩壊後のロシアの政治史で最も操作された選挙となる可能性が高い」とし、「プーチンは高い得票率を通じて強力な支持を確保しなければならないため、すべての措置を取るだろう」と述べた。

 反対派は、今回の選挙がプーチンと戦争に対する反対の規模を示す「チャンス」とみている。先月、シベリアのヤマロ・ネネツ自治区の第3刑務所で収監中に突然死した野党指導者アレクセイ・ナワルヌイ氏は、死亡直前まで「投票場に出てプーチンに反対する一票を行使しよう」と反政府キャンペーンを行った。今は配偶者のユリヤ・ナワルナヤ氏がこの運動を続けている。ただし、ロシア当局の世論統制の壁を越えるのは容易ではなさそうだ。

 プーチン大統領の史上最大得票の見通しに現実性がある理由は、高い支持率にある。非政府の世論調査機関であるレバダセンターの世論調査によると、先月基準でプーチン大統領の支持率は86%に達し、ロシアのウクライナ侵攻前の2022年1月の69%より17%ポイント上昇。ロシアの状況に詳しい韓国政府筋はハンギョレに「戦争と政権に反対する立場は明確に存在するが、住民の多くは権威主義に慣らされている」とし「プーチンのことを、ロシアが米国に受けた侮辱を返し再び強いロシアを作ることができる唯一の人物とみなしている」と述べた。

 高い支持率はロシア当局がプーチン大統領を「唯一有能な指導者」というイメージで覆ってきたためでもある。フレイザー研究員は「ロシア人は検閲されたニュースに接し、反対意見があっても推進力を得る前に早々と鎮圧される」と語った。世論調査の結果自体はかなり正確な方ではあるが、「問題は『誰が喜んで答えるか』だ。喜んで答える人は現政権を支持している可能性が高い」と話した。

 ロシアにはプーチンに対抗できるような人物がおらず、勢力もない。大統領選候補に登録したニコライ・ハリトーノフ氏(ロシア共産党)、ウラジスラフ・ダワンコフ氏(新人民党)、レオニート・スルツキー氏(自由民主党)の支持率は5%前後で、数合わせに過ぎない。

 そのようななかでも戦争反対を叫んだボリス・ナデジディン氏が大統領選への候補登録をしようとしたが、ロシア中央選挙管理委員会が推薦人署名の相当数が無効だとし、先月候補登録を阻止した。

 プーチン大統領が圧倒的得票率で当選すれば、これを土台にウクライナ戦争で攻勢をさらに強化し、戦争が長期化する可能性が高い。ソウル大学国際問題研究所のシン・ボムシク所長(政治外交学部教授)はハンギョレに「ロシアは米国の大統領選前までに戦争を終わらせるのは難しいと判断しているようだ」とし「現在、攻勢のモメンタムに乗った状況なので、引き続きウクライナ領土を占領する政策を取るものとみられる」と話した。

 ロシア経済も長期戦の能力を支えている。ロシア経済は、西側の経済制裁にもかかわらず昨年3.6%成長した。国際通貨基金(IMF)は今年のロシアの経済成長率を2.6%と予想した。ロシア経済が制裁にもかかわらずむしろ成長する理由の一つは、グローバルサウス(北半球の低緯度や南半球に位置するアジア・アフリカ・南米の開発途上国)との貿易拡大だ。

 ただし、戦争が長期化する場合、ロシアは中国に対する経済的隷属が深刻化する状況を懸念している。中国の関税当局である海関総署の統計によると、両国の昨年の貿易総額は前年に比べ26.3%急増した2401億ドルに達した。これは史上最大の記録だ。このため、ロシアが自ら非友好国とした国の一つである韓国との関係改善を図る余地は残っているという見方もある。韓国政府関係者は、ロシアが「中国に対する隷属を避け、戦略的独立性を確立するための協力対象国の一つが韓国だと考える」と述べた。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1132029.html韓国語原文入力:2024-03-13 08:59
訳C.M

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