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女性には男性の権利の64%しか与えられていない

登録:2024-03-07 06:36 修正:2024-03-07 16:13
「性差別解消すれば世界GDP20%上昇」 
「気候変動による衝撃も女性農民にとってはるかに過酷」
世界女性の日(3月8日)を3日後に控えた5日、バングラデシュの女性活動家たちが首都ダッカで女性に対する投資拡大を促す街頭行進を行っている=ダッカ/EPA・聯合ニュース

 暴力からの安全や育児の負担までを考慮した世界中の女性の雇用関連の権利は男性の64%に過ぎず、女性が経験する気候変動による衝撃も男性よりはるかに大きいという国際機関の分析結果が相次いで出た。

 世界銀行は国際女性デー(3月8日)を3日後に控えた5日(現地時間)に発表した年次報告書「女性、ビジネス、法律」で、雇用関連の男女不平等に安全問題と育児の負担を含めれば、男女の格差はこれまで考えていたよりはるかに大きくなると分析した。英紙「ガーディアン」などが報じた。同報告書は、世界190カ国の法律的ジェンダー平等を評価し、このような結論を導き出した。

 報告書は、暴力からの安全問題と育児の負担を考慮しなかった場合、女性が享受する法的権利は男性の77%だが、この二つを考慮すれば男性の64%まで落ちると指摘した。今年で10回目の発刊を迎える同報告書は、今年初めて安全問題と育児問題を評価対象に加えた。

 報告書は、家庭内暴力、性暴力、早婚、フェミサイド(女性嫌悪殺人)など、安全における女性の法律的権利は男性の36%に過ぎないと分析した。また、女性の育児時間は男性より1日平均2.4時間多かった。

地域別 男性に比べた女性の法律的権利指数//ハンギョレ新聞社

 報告書は各国の男女平等と関連する法律規定と実際の適用の格差もまた「驚くほど大きい」と指摘した。法律に規定された名目上の女性の権利を完全に保障する措置を備えている国は、全体の40%にも及ばないことが分かった。例えば、男女同一賃金を保障する法律がある国は95カ国だが、賃金格差解消のための執行措置まで備えている国は35カ国に過ぎなかった。

 報告書の責任者、テア・トルムビッツ(Tea Trumbic)氏は、育児と安全問題が特に女性の働く能力を蝕んでいるとし、暴力は労働への参加を物理的に防ぎ、育児費用は多くの女性の働く意欲を低下させると語った。

 報告書は、男女不平等を解消した場合、世界の国内総生産(GDP)を20%まで引き上げられるとし、成長のためにも不平等を早急に解消しなければならないと強調した。

 AP通信によると、国連食糧農業機関(FAO)はこの日発表した報告書「不公平な気候」で、開発途上国の女性農民が男性農民に比べて気候変動によってはるかに大きい衝撃を受けていると分析した。これは24カ国の中低所得国の農家10万世帯(9億5千万人に該当)を分析した結果だ。

 報告書は、女性が世帯主である農家が猛暑と洪水で経験する所得減少は、男性が世帯主である農家よりそれぞれ8%と3%大きいと分析した。これを金額に換算すると、女性農家の猛暑による被害は男性農家に比べ世帯員1人当たり83ドル(約1万2千円)、洪水被害は1人当たり35ドル(約5200円)も大きかった。このような女性農家の経済的不利益を合計すると、年間530億ドル(約7兆9300億円)に達した。猛暑関連の不利益は370億ドル、洪水関連の不利益は160億ドルだった。

 報告書は「地球の平均気温が1度高くなると、女性農家と男性農家の被害格差は34%まで広がる」とし、「女性と男性の農業生産性と既存の賃金格差まで考慮すると、男女の格差はより一層広がる可能性がある」と警告した。

 気候変動の衝撃において男女格差がこのように大きいにもかかわらず、女性の相対的不利益を解消するための政策はほとんどないことが調査で分かった。報告書は、世界各国の気候適応計画案4千件のうち、女性問題を取り上げたのは6%に過ぎないのが現実だと指摘した。

 報告書は、気候危機に対応して農業以外の所得源を開拓しようとする時も、女性は男性よりさらに大きな困難に直面すると強調した。このような困難の主な原因としては、情報アクセスや金融と技術支援における男女格差などが挙げられた。

 FAOの屈冬玉事務総長は「今回の研究結果は世界レベルと個別国家レベルの気候変動への対応において、包容性と持続可能性に対する政策的関心が非常に急がれることを示している」と指摘した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1131098.html韓国語原文入力;2024-03-06 20:02
訳H.J

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