本文に移動
全体  > 経済

「男女賃金格差1位の韓国、育児休職を強化すべき」OECDが助言

登録:2023-06-09 20:36 修正:2023-06-10 11:02
2023年経済見通し報告書
ゲッティ・イメージバンク//ハンギョレ新聞社

 経済協力開発機構(OECD)が「労働市場が男女平等であってこそ経済が成長し景気回復力が強くなる」とし、「(しかし)韓国は依然として性別賃金格差が30%を上回っている」と指摘した。韓国の慢性的な問題である性別賃金・雇用率格差を狭めなければ、景気回復が制約されかねないと懸念されている。

 OECDは7日に発表した「2023年経済見通し」で、労働市場の性平等と経済成長との相関関係を強調し、韓国の長年の問題である性別賃金格差と「ガラスの天井」問題を取り上げた。報告書に含まれた2021年基準での加盟国の15~64歳の性別雇用率差(男性雇用率から女性雇用率を除いた数値)をみると、韓国は17.5%でOECD加盟国平均の14.7%より高かった。また、昨年基準での性別賃金格差(中位値基準)は、OECD平均11.9%の3倍に近い31.1%だった。韓国は1996年のOECD加盟以来、加盟国の中で性別賃金格差1位を継続している。

 OECDは「最近の研究結果によれば、性別賃金格差の要因の75%は、一つの企業内で類似した熟練度を備えているにもかかわらず、業務と責任分配の差により発生する男性と女性との賃金差であり、残りの25%は低賃金企業・産業に女性が主に従事していること」だと分析した。

 これは、主な賃金格差の要因が個別企業の中で発生しているという意味だ。韓国は特に、企業内で管理職の女性の割合が2021年基準で16.3%で、OECD平均の33.7%を大きく下回るなど、「ガラスの天井」が堅固だ。同じ年の基準で、韓国の上場企業の取締役会構成員のうち女性の割合も10%を下回り、OECD加盟国平均の28%よりはるかに低い。これについてこれまで女性運動の間では、長く働くほど賃金がより多くなる年功序列制のもと、女性は出産・育児期にキャリアが断絶し、昇進や給与上昇の機会を失っているという主張が出ている。

国別の性別賃金格差(中位値基準)。韓国(グラフの右端)が加盟国中で最も大きい=OECD提供//ハンギョレ新聞社

 OECDが2番目に指摘した要因である低賃金企業・産業に女性労働者が集中している点もまた、韓国で顕著に現れている現象だ。韓国統計庁の経済活動人口調査によれば、昨年基準で相対的に働き口が安定的で賃金水準の高い製造業では、女性の比率が28.6%に過ぎず、非正規職や時間制が多く賃金水準の比較的低い宿泊・飲食業や保健・社会福祉サービス業では、女性の比率がそれぞれ61.1%、82.1%と高かった。このために発生する賃金格差についても、OECDは「女性が遂行する仕事に対する低評価によるもの」とし、「差別的雇用慣行の結果だ」と指摘した。

 こうしたなか、最近韓国では女性・高齢層を中心に就業者数が増えている。統計庁の調査結果によれば、4月の就業者数は昨年同月に比べ35万4千人増えたが、このうち34万5千人が女性だった。また、60歳以上の就業者数は44万2000人増加した反面、10代(-2万1000人)、20代(-11万6000人)、40代(-2万2000人)では就業者数が減った。

 これについて韓国銀行調査局雇用分析チームのオ・サミル次長、チョン・ソンヨン課長、イ・ジョンハ調査役、ハン・ジウ調査役は、5日に掲載した韓銀ブログの「パンデミック以後、女性を中心に労働市場が回復」という文で、「パンデミック期間中に女性の働き口が男性に比べて大きく減るシーセッション(女性を意味するシー(she)と沈滞を意味するリセッション(recession)の合成語)が発生したとすれば、パンデミック後には女性を中心に働き口が増えるシーカバリー(sheとリカバリー(recovery)の合成語)現象が現れている」と分析した。

 女性就業者数の増加が経済成長につながるには、労働市場内の性別格差を縮めていかなければならないという指摘が出ている。韓銀の分析によれば、2010~2022年の韓国の国内総生産(GDP)と就業者数間の相関係数は0.52で、欧州連合(EU)の0.7、米国の0.9より低い。経済成長が半導体など雇用誘発の少ない部門を中心に行われているためだ。

 OECDは「性別格差を減らすことが成長率を高めるという研究結果はすでに多く提示されている」として「韓国の場合、育児休職を強化し、放課後の生徒のケアを拡大するなど、仕事と家庭の両立に政策の焦点を合わせなければならない」と明らかにした。昨年9月に韓国を訪れた国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート首席副総裁も「性平等は経済成長を促進し、公共および民間部門の成果を増進し、所得不平等を緩和する」として「韓国の女性と男性の労働市場参加率が2035年までに等しくなれば、GDPは今より7%以上成長するだろう」と助言した。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1095289.html韓国語原文入力:2023-06-09 16:39
訳J.S

関連記事