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ガザ配給地でパレスチナ民間人870人余りが死傷…多くは銃傷との証言も

登録:2024-03-02 06:37 修正:2024-03-02 07:15
ハマス「住民を対象に直接発砲」、イスラエル「警告射撃」
29日、ガザ地区北部のガザ市で、民間救援トラックの支援物資を受け取るために集まったパレスチナ民間人104人(ガザ地区の保健省集計)がイスラエル軍の発砲で死亡したと、ガザ地区の保健省が発表した。イスラエル軍が配布した事故現場の空中撮影動画の一場面/AFP・聯合ニュース

 支援物資を受け取るのを待っていたパレスチナの民間人が、イスラエル国防軍(IDF)の発砲で100人以上が死亡する惨事が起き、波紋が広がっている。イスラエルとパレスチナの武装勢力ハマスの休戦交渉に悪影響を及ぼすものとみられる中、ガザ地区の民間人犠牲者は日増しに増えている。

 パレスチナ武装勢力ハマスのガザ地区の保健当局は29日、ガザ市西部のナブルシ交差点で救援物資の配給を待っていた民間人に、イスラエル軍が銃撃を加え、少なくとも112人が死亡し、少なくとも760人が負傷したと発表した。英国のBBCなどが報じた。ソーシャルメディアに共有された現場映像では、大型トラックの近くに遺体が散らばっている残酷な姿が確認できる。

 イスラエル軍は、人道回廊確保のための警告射撃を行っただけで、多数は群衆の間の混乱で圧死したと主張した。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は29日夕方のブリーフィングで、「トラックの配給品をめぐって争いが起き、群衆数十人が踏まれて死んだか負傷し、これを見たイスラエル軍は人道回廊を確保するために警告射撃を行い、解散させた」と主張した。ハガリ報道官は現場を撮った映像を見せながら、午前4時40分頃に援助物資を積んだ最初のトラックが到着したが、5分後に群衆がトラックに駆け寄ってトラックが動けなくなり、イスラエル軍が介入に乗り出したと主張した。またイスラエル軍は「群衆に向かって銃を撃ってはいない」とも主張した。

 一方、ハマスは「イスラエル軍が殺傷を目標に住民に直接発砲した。すべての目撃者の証言と否定できない証拠がある」と反論する声明を出した。

 BBCはパレスチナの目撃者の話として、死亡者の多くが、混乱が起きてから現場を離れようとしたトラックにひかれて発生したと報道した。しかし、161人を治療したアル・アウダ病院のモハメド・サルハ院長代行は、同病院に運ばれてきた人々のほとんどが銃傷を負った姿だったと語った。近くのアル・シファ病院で治療を受けている住民のカメル・アブ・ナヘルさんは、「食べ物を配るという話を聞いて、真夜からトラックをずっと待っていた」として、AP通信に当時の現場状況について話した。ナヘルさんは、住民が小麦粉の箱と缶詰をトラックから降ろすと、イスラエル軍が群衆を散らすために発砲したと語った。銃声が収まると、人々は再びトラックに押し寄せ、イスラエル軍は再び銃撃を加えたとし、自分も足を撃たれて倒れたが、トラックが倒れた彼の足を轢いたと話した。

 国際社会ではイスラエルを批判する声が高まった。パレスチナのヨルダン川西岸を統治するパレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバス議長は「イスラエル占領軍が醜悪な虐殺を犯した」と非難し、サウジアラビアやエジプト、ヨルダンなど周辺アラブ諸国も一斉に糾弾声明を出した。

トラック近くで支援物資の配給を受けていたパレスチナ人住民100人以上が死亡したガザ市西部海岸の現場の2月29日の様子/ロイター・聯合ニュース

 国連のステファン・デュザリック報道官は声明で、「一週間以上支援物資が届いていなかった北部の民間人が今回の死亡者に多数含まれていた」として、ガザ地区に人道支援を至急に増やすべきだと訴えた。アントニオ・グテーレス国連事務総長は「切迫した状況に置かれたガザ地区の民間人は今すぐ助けを必要としている」と強調した。

 アルジェリアは今回の事件に対してイスラエルを批判する声明を国連安保理に提出したが、米国が反対したと「タイムズ・オブ・イスラエル」が報じた。パレスチナのリヤド・マンスール国連パレスチナ大使は、安保理理事国15カ国のうち14カ国が声明に賛成したと述べた。しかし、ロバート・ウッド米国連次席大使は、米国は反対したとし、「我々は根拠になるような事実をすべて持っているわけではない。それが問題だ」と述べた。

 米国務省のマシュー・ミラー報道官はブリーフィングで、「今日だけでなく5カ月にわたりあまりにも多くの罪のないパレスチナ人が死亡した」とし、「現場状況に対する相反する報告がある。イスラエル政府と連絡を取っており、調査が行われていると聞いている」と述べた。

 10日にイスラム断食月であるラマダンの開始を控えて人質および休戦交渉が進められていた時期に、このような大規模な悲劇が起きたことで、対話ムードは再び凍りついている。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は同日の記者会見で「人質解放と休戦交渉が実を結ぶには時期尚早」だとし、「完全な勝利を収めるまで戦い続ける」と強硬発言を続けた。

 一方、この日ガザ地区の保健省は、昨年10月7日のガザ戦争勃発後、ガザ地区の犠牲者数がこれまで3万人を超えたと発表した。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1130535.html韓国語原文入力:2024-03-01 19:09
訳H.J

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