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休戦を妨げるネタニヤフ首相「人質交渉に関係なくラファ攻撃」

登録:2024-02-27 07:17 修正:2024-03-02 07:15
25日(現地時間)パレスチナ・ガザ地区南部の難民キャンプでパレスチナ人たちが廃虚となった都市を歩いている/EPA・聯合ニュース

 イスラエルとパレスチナ武装勢力「ハマス」の「第2次休戦」の雰囲気が高まっているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区で唯一地上戦が行われていない南端のラファへの本格攻撃の方針を変えずにいる。ハマス側は、ネタニヤフ首相が自身の政治的利益のために休戦交渉を妨げていると批判している。

 ネタニヤフ首相は25日(現地時間)、米国CBSの番組に出演し、「ラファで軍事作戦がいったん始まれば、戦闘の激烈な段階は数カ月ではなく数週間で終わるだろう」としたうえで、「完全な勝利が我々の目標であり、それは目前にある」と主張した。イスラエルは、ハマスの全武装グループは合計24個の大隊で構成されており、この4カ月ほどあまりの間に、ガザ地区の北側から南側に追い詰める形の地上戦を通じて18個大隊を解体したことを把握している。イスラエル国防軍(IDF)が最後の大規模攻勢を準備するラファ地域では、ハマスの4個大隊がいるとみられている。これらの組織まで破壊すれば、いわゆる軍事的な「完全な勝利」を達成できるという考えだ。

 戦争開始から絶えず問題になっている民間人被害を最小化するために南端まで追い込まれた避難民140万人あまりを、「ハマスの整理」が終わった後に北側に再び避難させることは、また別の課題だ。ネタニヤフ首相は「民間人の避難計画と残存のハマス大隊を解体するという『二重計画』を今日中に検討する」としたうえで、「人質交渉が成功しても、イスラエル軍のラファ軍事作戦には支障をきたさない」と述べた。これについて、ハマスのタヘル・アル・ヌヌ報道担当はこの日、「アルジャジーラ」に「ネタニヤフが自身の政治的利益のために交渉進展の試みを阻害している」と非難した。

 ネタニヤフ首相は、昨年12月1日の「第1次人質・休戦対等交換』が終わった後、追加交渉に進展がないことについて、「彼ら(ハマス)は(要求事項面で)別の惑星にいる」とし、「合理的な状況に降りてくれば交渉できる」と主張した。当初ハマス側は、自分たちが選択したイスラエル内のパレスチナ人収監者数千人の釈放と永久休戦を要求したことが分かった。しかし、最近フランス・パリで米国、エジプト、カタールが仲裁者として取り組んだ交渉では、永久休戦の代わりにガザ地区の一部地域からのイスラエル軍の撤収、暴力犯罪に関与したパレスチナ人長期囚の釈放などに条件を和らげ、交渉に進展をみせたことが分かった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルはこの日、ハマスの報道担当の話を引用し、ハマスの交渉の中心は、持続可能な休戦とガザ地区の軍事的占領の終結、包囲攻撃の終了などの3つだと明らかにした。両者は、ガザ地区に残ったイスラエル人人質130人あまり(死亡者を含む)のうち40人あまりを解放するかわりに、6週間の休戦とイスラエル内のパレスチナ人収監者を解放する条件で最終協議に入ったと報じられている。

 人質交渉の速度を上げ、すでに10万人に近づいている民間人の死傷者を最小化し、来月10日から4月8日までのイスラムの断食月であるラマダン期間中の衝突を最小化しなければならないという指摘も出ている。イスラエルのシンクタンク「国家安全保障研究所」(INSS)は、報告書「交渉転換:機会としてのラマダン」で、「ラマダンは、今回の交渉の責任をハマスに移すためのイスラエルの大胆な動きの機会」だとし、「第1段階でガザでの戦闘の中断とイスラエル人人質の釈放、ハマス指導部のガザ地区からの追放を達成し、第2番段階としてハマスの軍事組織の武装解除後にイスラエル軍の国境からの撤収を行わなけならない」と指摘した。

 ラマダンで戦争を中断しない場合、終わりかけている戦争において、イスラエル軍がパレスチナの別の強力な抵抗に直面する可能性があるということだ。実際イスラエルも、交渉過程では、イスラエル人の人質釈放期間を3月10日以前に設定したことが分かった。同報告書は「ハマスの残りの指導部はすでに逃走し、(ガザ地区の)最高指導者であるヤヒヤ・シンワルも同様に残存メンバーに対する効果的な統制力を喪失し、過去数週間にわたり連絡が途絶えていることが分かった」と分析した。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1129854.html韓国語原文入力:2024-02-26 19:16
訳M.S

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