ウクライナの情報当局トップの配偶者が毒物中毒になる事件が起きた。ウクライナは、ロシアがこの事件の背後にあると疑っている。
ウクライナ政府は28日(現地時間)、ウクライナ軍事情報局(GUR)のキリロ・ブダノフ局長の配偶者で、キーウ市長の補佐官を務めるマリアンナ・ブダノワ氏が毒物中毒になったことを明らかにした。AFP通信などが報じた。ブダノワ氏の体からは毒性の強い物質である水銀やヒ素などが検出され、病院で治療を受けたという。
ウクライナ軍事情報局のアンドリー・ユソフ報道官は、今回の事件にロシアが介入したというのがウクライナ調査官の「中心的な仮説」だと説明した。「ブダノフ局長に直接接近することは不可能なので、彼の配偶者が標的になった」と述べた。ブダノフ局長は昨年2月のロシアのウクライナ全面侵攻を予想した人物で、戦争勃発後、ロシアに対する各種の秘密作戦を陣頭指揮した人物だ。暗殺未遂の主張について、ロシア当局はまだ何も言及していない。
ウクライナ現地メディア「バベル」は、ブダノワ氏の体から検出された物質は、日常生活ではもちろん、軍事活動でも使用しないものだと報じた。また、別の現地メディア「ウクラインスカ・プラウダ」は、ブダノワ氏が食べ物を通じて毒物中毒になった可能性があるとウクライナ当局が判断していると伝えた。ウクライナ当局は今回のことを「殺害の試み」とみて調査を進めている。他の軍事情報局の職員も毒物中毒の症状を見せ、治療を受けているという。
ロシアのウラジーミル・プーチン政権は、数回にわたって毒物を用いて反体制派などを暗殺しようとしたという疑惑が持たれてきた。2020年8月に起きた、ロシアの野党政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏が空港でお茶を飲んだ後、毒物中毒が疑われる症状で飛行機の中で倒れた事件が代表的な例だ。しかし、ロシア大統領宮のクレムリンはこのような疑惑についてすべて否認してきた。