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尹政権がウクライナに供与した砲弾、朝鮮半島危機の「ブーメラン」に

登録:2023-12-06 06:26 修正:2023-12-06 07:12
昨年4月29日、米デラウェア州のドーバー空軍基地で、米空軍がウクライナに向かう155ミリ砲弾を点検している/AP・聯合ニュース

 ウクライナへの砲弾支援を求める米国の要求を尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が受け入れてから、 朝鮮半島情勢を決定的に悪化させた朝ロの「戦略的接近」が行われたという情況がますます明らかになっている。尹錫悦政権の無謀な選択が、韓国の安全保障に「災い」をもたらす北朝鮮の弾道ミサイル技術の向上につながったものとみられる。

 6月初めに始まったウクライナの「大反撃」の顛末を取り上げたワシントン・ポスト紙の4日(現地時間)付の特集記事で、最も注目を集めているのは、今年2~4月頃に行われたウクライナ砲弾支援をめぐる攻防だ。記事によると、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の主宰で開かれた会議で、米国は友好国の中でウクライナ軍に155ミリ砲弾を供与できる能力を備えた唯一の国は「(その気になれば)41日以内に航空と船舶で33万発」を提供できる韓国だけだという結論を下した。

 その後、米国が韓国に砲弾の供与を執拗に要求した情況はすでに公開されている。4月に流出し大きな衝撃を残した韓国大統領室国家安保室に対する米国の「傍受文書」には、当時のキム・ソンハン室長らが2月末頃、ポーランドを通じて砲弾33万発を供与する案を話し合った内容が含まれている。キム前室長は「ウクライナに弾薬を早く供与するのが米国の究極的な目標」だとし、ウクライナと国境を接するポーランドに砲弾を販売する案を示した。

 同案は実際進められたものとみられる。この頃、米国を訪問したポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は4月11日、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、自身が数カ月間にわたり韓国との砲弾供与協議に参加したことを明らかにし、「米国の介入がなければ、これは不可能だと思う」と述べた。また、ロシアの報復を予想したかのように「ジョー・バイデン米大統領が韓国に提供できる一種の安全保障がなければ、これは実現しないだろう」という意味深長な言葉も残した。

 尹錫悦大統領の米国国賓訪問を控えていた韓国の最終的な選択は「砲弾供与」だった。 尹大統領は4月19日、ロイター通信とのインタビューで、ウクライナに対する韓国の支援が「人道支援や財政支援にとどまっており、それらだけを固執することは難しい」と述べた。武器供与もあり得るという事実上の宣言だった。

 すると、1990年の国交正常化以後、友好関係を維持してきたロシアが激しく反発した。インタビューの翌日、ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は「韓国がこのような行動を取るなら、朝鮮半島に対する我々のアプローチに影響を及ぼしかねない」と警告した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は約1カ月後の5月24日付記事で、米国政府当局者の話として「韓国がウクライナに数十万発の砲弾を移送する手続きを進めている」と報じた。

 急変した韓国と対照を成しているのは日本の動きだ。日本は口ではロシアの侵略を強く非難しながらも、武器供与はおろか、液化天然ガス(LNG)供給の10%を占めるサハリンの天然ガス開発利権を手放さずにいる。

 報復を公言したロシアが行動に出たのは7月末だった。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、北朝鮮の戦勝節70周年を機に平壌(ピョンヤン)を訪れ、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談した。約2カ月後の9月13日には、ウラジーミル・プーチン大統領がロシア宇宙開発の象徴であるボストーチヌイ宇宙基地で金委員長に会った。プーチン大統領は、北朝鮮の人工衛星開発を支援するのかという現地メディアの質問に、「そのために我々がここに来たのだ」と答えた。

 ロシアの警告が「虚言」ではないことがある程度実証されたのは11月21日だった。北朝鮮の国家航空宇宙技術総局は同日夜、西海(ソヘ)衛星発射場で、偵察衛星「万里鏡1号」をロケット「千里馬1型」に搭載して打ち上げ、成功裏に宇宙軌道に安着させたと発表した。国家情報院は2日後の23日、国会情報委員会非公開全体会議で、「打ち上げの成功にはロシアの助けがあったと判断する」と明らかにした。ウクライナに「迂回供与」したとみられる砲弾が、ブーメランとなって韓国に災いを招いたのだ。

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1119200.html韓国語原文入力:2023-12-06 02:44
訳H.J

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