イスラエルとハマスの戦闘激化で、パレスチナのガザ地区最大規模の病院の電力が途絶え、未熟児が死亡し、病院はついに運営が中断された。世界保健機関(WHO)は、ガザ地区全体の病院の半分ほどが機能していないとして、懸念を示した。NBCの報道によると、ガザ地区の保健省は12日(現地時間)、ガザ地区最大の病院であるアル・シファ病院の電力が途絶え、保育器が作動停止になり、未熟児3人が死亡したと発表した。ガザ地区の保健省は、11日朝から電力がなくなり、新生児35人が死の危機に瀕しており、心臓集中治療室が破壊され、病院は運営を停止したと明らかにした。WHOは12日、アル・シファ病院側と連絡が途絶えたと懸念を伝えた。
これに先立ち、ガザ地区を統治する武装勢力ハマスは10日、イスラエル軍がアル・シファ病院を爆撃し、少なくとも13人が死亡したと主張した。一方、イスラエル軍は、同病院周辺でハマスの戦闘員らとの衝突があったが、病院を直接打撃したわけではないと反論した。また、新生児や乳児たちを他の病院に移すのに協力し、患者と医療スタッフが避難できる道を開く方針を示した。イスラエル軍は、ハマスがアル・シファ病院の地下にトンネルを掘って司令部として利用していると主張したが、ハマスはこれを否定した。
北部地域の避難民数千人が集まっているこの病院周辺で、最近激しい戦闘が続いている。AFP通信は11日、目撃者の話として、病院周辺地域で「銃撃が絶えず、空爆と砲撃も続いている」とし、「病院周辺に数十体の遺体が散在している」と述べた。アル・シファ病院の建物には遺体100体余りが埋葬されないまま放置されており、遺体保存用冷凍庫は作動していない状態だ。
アル・シファ病院だけでなく、他のガザ地区の病院も戦闘の激化で危険にさらされている。パレスチナ赤新月社(PRCS)は、ガザ地区の別の病院であるアル・クッズ病院に患者500人と避難民1万4千人がおり、運営を停止したと発表した。また、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)への投稿で、同病院で「母乳代替品の不足で赤ちゃんが脱水症状を起こしている」と明らかにした。国境なき医師団は、休戦が行われなければ、「(ガザ地区の)これらの病院に残っている患者全員が死亡するだろう。これらの病院は墓場と化す」と警告した。ガザ地区の病院は、先月7日にハマスのイスラエル奇襲攻撃で戦争が始まって以来、すでにまともに運営されていない状態だった。イスラエルがガザ地区に電気と水、燃料供給を遮断する封鎖措置と激しい空爆を加え、病院は非常発電機を動員してかろうじて運営を続けてきた。ところが最近、地上戦闘の激化まで重なり、半分ほどの病院が運営できない状態だ。WHOのテドロス・アダノム事務局長はソーシャルメディアに「ガザ地区の36カ所の病院のうち半数が機能しておらず、医療システムは崩壊している」という文を投稿した。
インドを訪問中のアントニー・ブリンケン米国務長官は10日、「あまりにも多くのパレスチナ住民が死亡し、あまりにも多くの人々がここ数週間にわたり苦しめられている」とし、ハマスとイスラエルの戦争勃発以後、最も強硬な口調で民間人被害を非難した。イスラエルは、米国が9日に発表したガザ地区北部住民の退避のため、毎日4時間の交戦中止合意を翌日の10日に公式発表した。ガザ地区の死亡者は1万1千人を超え、このうち4500人以上が子どもたちだ。