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EU、日本産食品規制を完全撤廃…日本政府に「モニタリング」を強調

登録:2023-07-15 00:55 修正:2023-07-15 08:29
シャルル・ミシェル欧州委員会常任議長(左から)、岸田文雄首相、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長が13日(現地時間)、ベルギーのブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)と日本の定期首脳協議で握手を交わしている/AP・聯合ニュース

 欧州連合(EU)が福島第一原発の放射性物質漏れ事故後に施行してきた日本産食品に対する輸入制限措置を撤廃することにした。

 ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長とシャルル・ミシェル欧州委員会常任議長は13日(現地時間)、ベルギーのブリュッセルで行われた岸田文雄首相との首脳協議後の記者会見で、EUと日本の経済協力を強調し、「EUは福島(原発)事故と関連して施行中の輸入制限措置を解除することで合意した」と述べた。欧州委員会によると、EU加盟国はこれらの規制撤廃を支持しているという。

 フォンデアライエン委員長は「私たちは科学、証拠、国際原子力機関(IAEA)の評価に基づき、このような決定を下した」とし、「また今年中に他のいろいろな貿易問題、特にEU農産物に対する日本市場の開放問題を解決することで合意した」と付け加えた。これに対し、岸田首相はEUの決定が「被害地域の再建を大きく後押しするものだ」と答えた。

 同日の首脳協議の結果として出た共同声明には「EUは日本の廃炉への着実な取組と科学的根拠に基づくIAEAとの透明性のある取組を歓迎するとともに、7月4日のIAEA包括報告書の発出を歓迎する」という内容が盛り込まれた。

 EU委員会は首脳協議後に発表した報道資料で「今回の規制解除は、日本当局とEU加盟国が福島産食品に対して実施した検査で肯定的な結果が出たことによるもの」だとし、「日本政府が自国産食品に対する放射能モニタリングを継続することが重要だ」と指摘した。さらに「ここ(モニタリング対象)には特に汚染された冷却水の海洋放出地点に近いところから出る魚類、水産物、海藻類が含まれる」とし、「日本政府がすべての結果を公開することも重要だ」とも付け加えた。

 EUは2011年の福島原発事故以降、日本産食品が放射性物質に汚染された可能性があるとみて、輸入規制措置を取ってきた。その後、規制は徐々に緩和され、福島産の一部水産物やキノコ、宮城県のタケノコなど10県の農水産物を輸入する際、放射性物質検査証明書の提出を義務付ける内容だけが残っていた。

 日本がEUに輸出する主要食品は、ウイスキーや牛肉などすでに放射性物質検査証明書の提出義務がなくなったものが多く、今回の輸入規制撤廃の経済的効果は限られるものとみられる。日本の農林水産省の資料によると、昨年基準で日本の農水産物および食品輸出額は中国本土と香港がそれぞれ20.8%と15.6%が1位と2位だった。EUは韓国(5%)とほぼ同じの5.1%だった。

 日本にとって今回の規制撤廃は、当面の経済的効果は大きくなくても、かなりの成果といえる。まず、日本は福島と周辺地域の水産物輸入を禁止した韓国に輸入禁止を解除するよう圧力をかけるのに、今回の措置を活用できるようになった。また、日本は今回のEUの措置が目前に迫った福島原発汚染水の海洋放出をめぐる国際世論戦にも役立つとみている。

ベルリン/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1100174.html韓国語原文入力: 2023-07-14 15:58
訳H.J

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