ロシア軍が昨年2月末にウクライナを侵攻後、1年3カ月にわたる戦闘で死亡したロシア兵士は、4万7000人あまりに達するという分析が出てきた。
ロシア独立メディア「メディアゾナ」と「メドゥーザ」は10日(現地時間)、ロシアの公式の相続記録資料をもとに、ロシアの若い男性に占める超過死亡者を分析した結果、5月27日までに死亡した50歳以下の兵士は4万7000人(4万~5万5000人)の水準と推算されたと発表した。両機関はドイツのテュービンゲン大学のデータ科学者らの協力を通じてこうした推定値を出したと、AP通信が報じた。
両メディアの推定値は、昨年9月にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が明らかにした戦死者数5937人の約8倍に達する規模だ。また、メディアゾナが英国BBCのロシア語サービスとともにマスコミ報道などの公開資料を追跡して集計した戦死者数(先月末時点で2万6801人)よりも2万人以上多い。
両機関は、遺産を相続した人が財産を登録した記録を調査した結果、昨年と今年の若い男性に関連した相続申告件数が急激に増加したことを確認したと説明した。これを例年の相続件数など他の資料と比較分析し、昨年だけで約2万5000人が戦場で死亡したと推定した。また、今年に入ってから5月27日までの追加の戦死者は2万2000人の水準だとした。今年の戦死者の推定値は、5月に米国政府が推定した昨年12月以降の戦死者の規模とほぼ同じだと、APは報じた。
両メディアは、重傷を負い除隊した兵士まで加えると、1年3カ月の間にロシア軍全体の戦力の損失規模は12万5000人に達するとした。これにはウクライナ東部の親ロシア系分離独立勢力である「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」に所属の兵士は含まれないため、ロシア側全体の戦死者と負傷者はこれよりもはるかに多いと予想される。
メディアゾナの編集者ドミトリー・トレシャニン氏は、「メドゥーザとの協力を通じて、ロシア政府が秘密にしようとしている『隠された』死亡者を把握できた」とし、「正規軍以外にも、ワグネルのような民間企業所属の兵士も戦争に参加しており、ロシア国防省の資料でも完全なものは作れないだろう」と述べた。
一方、英国国防省は、ロシア軍の累積戦死者を2月までに4万~6万人の水準とし、米国国防情報局は戦争初年度だけで3万5000~4万3000人が死亡したと推定した。