ウクライナが、ザポリージャ原発の状況は「非常に深刻だ」と繰り返し主張している。ウクライナは前日には、ロシア軍が原発の原子炉の建屋屋上に爆発物に似た物体を設置したと主張した。
ウクライナ原子力規制検査局のオレ・コリコフ局長は6日(現地時間)、ドイツ「RND」のインタビューで、「ロシアの不法占領と攻撃によって、(ウクライナ南部のザポリージャ)原発の多くの安全措置が作動しないでいる」としたうえで、「ロシアは、この原発を重武装した軍用車両を隠すための軍事基地に変えた。応急センターは占領され、現在は運営がなされずにいる。これはきわめて危険だ」と述べた。ロシア軍は昨年2月末にウクライナを侵攻した直後の昨年3月初めから、発電所を占領中だ。ザポリージャ原発は6基の原子炉を保有する欧州最大の原発だ。
先月初めにウクライナの「反転攻勢」が始まると、原発をめぐる状況が緊迫した。先月5日には、原発に冷却水を供給するカホウカダムが破壊され、冷却水枯渇の危険が提起された。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、ロシア軍がザポリージャ原発の原子炉建屋の屋上に「爆発物に似た物体」を設置したと主張した。国際原子力機関(IAEA)は、そうした懸念について、施設内では爆発物を確認できなかったと明らかにした。
コリコフ局長は、IAEAのこうした立場発表に遺憾の意を表明した。コリコフ局長は「ロシアはIAEAに原子炉上部などすべての場所に対する接近を許可していない」とし、発電所を保護するための原則が守られているようにはみえないと指摘した。
コリコフ局長は、原発の爆発など万一の事態が発生する可能性に備え、「1週間前に事故を想定した災害統制訓練を実施した」と述べた。ザポリージャ原発の放射能数値が増加しても発電所に近づけず、原因を把握できない状況に備えた訓練だった。ウクライナ当局は、市民に原発関連の情報を提供するためのSNSチャンネルも開設した状態だ。
コリコフ局長の話によると、現在のザポリージャ原発の原子炉6基のうち5基の稼動が中断され、5号機の原子炉だけが稼動中だ。コリコフ局長「規制当局として私たちは、現在の状況はきわめて危険だという確信を持っている。ロシアは、5号機を1年以上にわたり適切に維持・補修せずに稼動してきた」と述べた。また、蒸気発生器2基とポンプ4基が適切に管理されていない状況だと付け加えた。コリコフ局長は「こうした状況は、実際の脅威になり、事故につながりかねない。これは私たちの最大の懸念」だと述べ、5号機の稼動を中断すべきだと強調した。