「合祀行為および情報提供にあたり、法的保護の対象となる控訴人の権利または利益が侵害されたとは言えない」
東京高裁は26日、日本の靖国神社に合祀された朝鮮半島出身の軍人・軍属の遺族27人が2013年10月に起こした「合祀取り消し訴訟」で、原告の請求を棄却する判決を下した。約10年かかった控訴審の判決で、裁判長が棄却理由を読むのにかかった時間はたった45秒。これに先立つ2019年5月、東京地裁でも原告敗訴の判決が下されている。
原告のパク・ナムスンさん(81)は裁判後、裁判所の前で「日本の意のままに父は靖国神社に合祀された。父のいない年月を補償しろということではなく、名前を削除してほしいということなのに、それをなぜ無視するのか」と述べ、「裁判結果を聞いて手足が震えた」と苦しさを訴えた。パクさんは「日本が強制的に連れていった父は24才で死亡した。裁判所は遺族が書いた陳述書を一度でも読んでみたのか疑問に思う。最後まで闘う」と訴えた。
20年以上にわたり靖国問題で闘争している太平洋戦争被害者補償推進協議会のイ・ヒジャ共同代表(80)も、裁判結果を聞いて顔が青ざめた。イ代表は「裁判所は、『靖国が合祀の事実を家族に知らせなかったことは過ちだ。名前を削除せよ』という判決を下すべきだった。深いむなしさを感じる」と述べた。イ代表は「靖国は今でも犯罪行為を犯している。今回の判決は、司法府もその犯罪行為に加担したことを示したもの」だと批判した。
イ代表は、2001年に起こした「靖国合祀訴訟」で最終的に敗訴した後、他の遺族らの訴訟を支援している。靖国合祀訴訟は、2001~2003年に続き2007年、2013年の3回にわたり提訴されたが、すべて敗訴した。2013年の訴訟は最高裁の判決のみを残した状況だ。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「これまでは靖国合祀被害者の子ども世代が訴訟を起こしてきたが、これからは孫の世代が新たな訴訟を起こしていくだろう」と述べた。
靖国神社は、1867年の明治維新の前後に日本で繰り広げられた内戦で天皇のために死去した人たちのために作られた。その後、日清戦争から太平洋戦争まで、日本が起こした数々の侵略戦争で天皇のために命を捧げた人たちが増えていき、合計246万6000人あまりが合祀されている。そのうち約90%は太平洋戦争(1941年12月~1945年8月)の時に亡くなった人たちだ。靖国神社に世界的な関心が向けられるようになったのは、日本の侵略戦争を起こした責任があるA級戦犯14人が1978年に合祀されてからだ。それ以降、日本の現職の首相がこの神社を参拝するたびに韓国や中国など近隣諸国の反発が続いてきた。