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「『ノルドストリーム』爆破は親ウクライナ団体の仕業」米メディアが報道

登録:2023-03-08 20:49 修正:2023-03-09 08:43
NYT「米、親ウクライナ勢力関与の証拠入手」
バルト海を通じてロシアと欧州を連結するガスパイプライン「ノルドストリーム2」から昨年9月27日に漏れたガスの泡が水上に上がっている=ボルンホルム島/ロイター・聯合ニュース

 昨年9月にロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルドストリーム1・2」を爆破したのは「親ウクライナ団体」だという米国の主要メディアの報道が出た。この事件が「米国の工作」だという著名ジャーナリストの暴露で波紋が広がる中、「親ウクライナ団体説」が新たに浮上し、事件の真実がますます深い迷宮に陥っている。

 ニューヨークタイムズは7日、「米国当局者がノルドストリーム・ガスパイプライン爆破に関する新たな情報を検討した結果、親ウクライナ団体がその攻撃(ノルドストリーム攻撃)をしたものとみられる」と報じた。同紙はまた、ウクライナのゼレンスキー大統領やウクライナの最高位当局者がこの工作に関与したり、実行犯が彼らの命令に従って行動した証拠はないと伝えた。親ウクライナ団体がガスパイプラインを爆発させたようだが、ウクライナと米国政府の責任はないという主張だ。

 米当局者らは新聞に「この工作を実施した人々とその所属についてはわからないことが多い」ということを前提に、今回新たに入手した情報を検討した結果、この破壊工作を行った人々は「ロシアのプーチン大統領の反対者」とみられるとの見解を明らかにした。しかし、誰が工作を実施し、誰が指示し、資金を提供したのかは明確に提示できなかった。ただし、実行犯がウクライナまたはロシアの国籍者、あるいはその両方で構成された可能性が高く、米国人や英国は関与していないと付け加えた。同紙によると、米当局者らはウクライナ政府あるいは安保機関と関連した代理勢力が密かに遂行した可能性もあるという。

 昨年9月に発生したノルドストリーム爆破は、ウクライナ戦争開戦から1年間に起きたいくつかの事件の中で最も大きなミステリーに挙げられる。最初はロシアの仕業だという推測が多かったが、その後、事件の実体は五里霧中に陥った状態だ。これに先立って、この事件を調査したスウェーデンとデンマークの捜査当局は、バルト海の下に爆弾を装着する精巧な技術などをみると「国家が関与した工作である可能性がある」という見解を明らかにしてきた。新たな情報を検討した米当局者らは、爆弾を取り付けるのに手を貸した熟練の潜水士らは、軍や情報機関のために作業したとは思えないとしながらも、犯人らが過去に政府レベルの特殊訓練を受けた可能性はあるという曖昧な見解を明らかにした。

 この日の報道が出る1カ月前の2月8日、米国の著名な探査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏は、「この事件は米国の工作だ」と主張し波紋を呼んだ。彼は自身のブログに掲載した長文の記事で「昨年6月、海軍の潜水士が『バルト海作戦22』(バルトップス22)というNATO(北大西洋条約機構)合同訓練の隠蔽の下、遠隔作動爆弾を設置し、3カ月後にノルドストリーム1・2の4本のうち3本を爆破した」と主張した。その後沈黙を保ってきた米国の主流メディアが、この日新たに「親ウクライナ団体説」を提起した。

 さらにニューヨークタイムズ紙は、この戦争を全面的に遂行するウクライナの政策決定について、米国高官や情報機関が知っていることは制限的だと指摘した。特に、ロシアのどのような目標を攻撃対象にしているのかを透明に明らかにせず、拡大を懸念する米国と欧州諸国を当惑させていると伝えた。

 実際、昨年8月初めのクリミア半島西部沿岸のロシア軍のサーキ空軍基地攻撃、10月のクリミア大橋爆破、12月のロシア領内300キロメートルにあるリャザン・エンゲルス軍事基地に対する攻撃などが続いた。これらの攻撃は全てウクライナ当局が主導したとみられるが、明確な事実関係はこれまで確認されていない。

 この事件は真実がどの方向に究明されるかによって、「ウクライナ支援」という大義名分を維持している西欧の単一隊伍を乱す恐れがある。特に、米国とウクライナの関連性が確認されれば、戦後70年余り維持してきた平和主義路線を破ってウクライナへの武器支援に乗り出したドイツの猛烈な反発は避けられない。

 ウクライナとロシアはそれぞれ激昂した反応を示した。ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領補佐官はツイッターに「ウクライナはバルト海のその事故と何の関係もない」とし「親ウクライナのサボタージュ(秘密破壊工作)団体」に関する情報もないと主張して、自分たちの関与を否定した。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領府報道官は8日、「この攻撃の作家たちが注意を分散させようとしているのは確かだ」とし、「異常なことで巨大な犯罪の匂いがする」と述べた。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1082689.html韓国語原文入力:2023-03-08 19:07
訳J.S

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