本文に移動

パンケーキが崩れるように「ぺしゃんこ」…トルコのずさんな耐震規制が物議

登録:2023-02-10 05:10 修正:2023-02-10 09:22
8日、トルコ南部のカフラマンマラシュの倒壊した建物の残骸で、人々が救助作業を行っている/EPA・聯合ニュース

 トルコとシリアを襲ったマグニチュード(M)7.8の大地震では、多くの建物が倒壊し、トルコだけで1万人以上の死者が出ている。非常に強い地震だったとはいえ、新築の建物までもがあっけなく倒壊したことから、手抜き建築とずさんな規制のせいだという批判が高まっている。

 英BBCは8日、トルコ東部マラティヤで昨年完成したとされる建物が、地震後に上の階から下の階へと垂直に落ちて倒壊している様子を紹介した。建設当時、業者は「最新の耐震規制に則っており、1等級の資材と技術で建設された」とする宣伝をソーシャルメディアで流しているとBBCは批判した。

 ハタイ県イスケンデルン市にある建物は真っ二つに割れ、片方はぺしゃんこに倒壊している。建設会社のウェブサイトに掲載された写真を見ると、この建物は2019年に完成したと推定される。トルコ政府は1999年に北西部イズミットで発生した大地震で1万7000人あまりの死者が発生したことを受け、厳格な耐震規制を作り、2018年にはこれを強化している。地震脆弱地域の建物には高品質のコンクリートを使い、鉄筋も補強することになっている。

 専門家たちは、建築規制を強化した後に建てられた建物も一瞬にして倒壊したことを考えると、今回の地震は単なる自然災害ではなく人災である可能性があるとの見解を明らかにしている。英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのデービッド・アレクサンダー教授(災害学)はBBCに「地震は非常に破壊的だったが、きちんと建てられた建物を完全に倒壊させるほどではなかった」とし「(新築ではない)既存の建物に適用しうる規制が非常に不足しており、新築の建物に対する規制も十分ではなかった」と語った。米国地質調査所の構造工学者キショー・ジャイスワル氏も米国PBSに対し、上の階が垂直に下の階に重なって倒壊する、いわゆる「パンケーキ崩壊」が崩れた建物の一部に見られるのは、その建物が衝撃をきちんと吸収できていなかったことを意味すると指摘した。

 トルコ政府は過料などを免除し続けたことで、不良建築物を事実上放置してきたとも指摘される。トルコの建設工学者ペリン・プナール・ギリトリオル氏は、トルコ南部の地震影響圏にある地域の約7万5000棟の建物がこのような行政処分の免除を受けていただろうと指摘した。

 トルコ政府が1999年のイズミット地震後に徴収してきた、いわゆる「地震税」をきちんと使ってきたのかについても、疑問が提起されている。米CNNは、現地の専門家オザン・ビンゲル氏の推定によると、トルコ政府が地震税として24年間にわたって徴収してきた金額は880億リラ(約5兆8900億ウォン)に達すると伝えた。この金の正確な使途は不明だ。トルコ財務・金融省がこの税収を「一般予算収入」に分類し、災害対策の他にも道路や橋の建設などに使えるようにしていたためだ。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/1079107.html韓国語原文入力:2023-02-09 22:40
訳D.K

関連記事