新年早々、南北の両首脳が「戦争準備」を強調するなど、朝鮮半島情勢の緊張がますます高まっている。「北朝鮮の脅威」を前面に掲げた韓米日三角安保協力強化論がよりいっそう露骨化し、米中戦略競争と相まって情勢の緊張のもう一つの原因になりうると指摘されている。
2日、「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の報道によると、米国の外交・安全保障専門家たちは、ジョー・バイデン政権が新年にも従来の対北朝鮮圧迫政策を維持するとともに、韓米日三角安全保障協力の強化を積極的に進めるべきだと強調した。
ロバート・アインホーン元国務省特別補佐官(軍縮・核不拡散担当)は、同放送とのインタビューで、新年も対北朝鮮交渉は進展がみられないだろうと見通した。また「バイデン政権は外交の扉は開いておく必要があるが、(北朝鮮と)非核化を議題で交渉を行う見通しは非常に限られている」とし、「現状況で優先順位は韓米軍事同盟、韓米日三角防衛協力による集団的抑止力を強化すること」だと述べた。
特にアインホーン元特別補佐官は昨年、韓米日3カ国が共同で対潜水艦戦訓練とミサイル防衛訓練を行ったことを評価し、「新年には韓米日外相・防衛相(2+2)会談を開くことになれば、非常に肯定的な進展になるだろう」と述べた。「北朝鮮」という共通の脅威に対抗し、韓米日三角安保協力を「同盟」に近いレベルまでさらに引き上げるべきだと主張したわけだ。
バラク・オバマ政権時代に国務省次官代行(軍備、国際安全保障担当)を務めたトーマス・カントリーマン米軍備管理協会理事長は「韓国と日本は北朝鮮から、そして潜在的には中国から非常に深刻な脅威に直面している」としたうえで、「韓米日三角同盟」を構築する必要性を強調した。また「拡大抑止は米国の核抑止力だけに依存するのではなく、自己防衛能力を備え、同盟と協力し依存・信頼することを意味する」とし、「3カ国が共通の脅威に直面しているため、韓米日でより効果的な三角同盟を結ばなければならない」と述べた。
米国主導のミサイル防衛システムに韓国も参加すべきだという主張も出た。デニス・ワイルダー元大統領上級補佐官(アジア担当)は、「中国に対する懸念から韓国がこの部分を渋ったことは知っているが、北朝鮮の脅威が高まっている状況で、韓米日の力を結集する『北東アジアミサイル防衛システム』を構築する方法を考慮する必要がある」と述べた。
これに先立ち、韓米日3カ国首脳は昨年11月、カンボジアのプノンペンで開かれた3カ国首脳会談後に発表した「インド太平洋における韓米日3カ国パートナーシップに関するプノンペン声明」で、「抑止、平和、安定のための主要な進展として、飛来するミサイルによる脅威を探知し評価する各国の能力を向上させるため、北朝鮮のミサイル警戒データをリアルタイムで共有する意図を有する」と明らかにした。
問題は、中国側が米国主導の北東アジアミサイル防衛体制を、自国を狙ったものとみている点にある。韓国がこれに参加すれば、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備当時よりはるかに強力な対応に出る可能性が高い。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、急速に進められている韓米日三角安全保障協力の強化が、北朝鮮はもちろん中国の反発を呼び、情勢の緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥りかねないという懸念が高まっているのもこのためだ。
キム・チャンス元大統領府統一秘書官は、「オバマ政権時代から米国は対中国牽制のため韓米日三角同盟の構築を望んでいた。韓国内の反中意識が強化され、北朝鮮の脅威も大きくなった現状を米国側は絶好の機会ととらえるだろう」とし、「北朝鮮の脅威を前面に押し出しているが、その背後には中国がある。韓米日三角安全保障協力のレベルを性急に高めた場合、韓国の外交的空間をさらに狭める結果をもたらす恐れがある」と指摘した。