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「日本、韓国の要請なしに北朝鮮攻撃に参加する可能性は低い」

登録:2022-12-20 04:26 修正:2022-12-20 08:50
政策研究大学院大学の道下徳成教授インタビュー 
「安保3文書」閣議決定の意味 
「核心目標は北朝鮮への攻撃ではなく中国けん制」
政策研究大学院大学(GRIPS)の道下徳成教授=東京/キム・ソヨン特派員//ハンギョレ新聞社

 「日米同盟は、朝鮮半島と台湾海峡という2つの脅威に同時に向き合わなければならない。韓国が要請しない限り、日本がわざわざ北朝鮮攻撃作戦に参加する可能性は高くない」

 日本の知韓派安保専門家である政策研究大学院大学(GRIPS)の道下徳成教授(56)は、16日に閣議決定された「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」を骨子とする国家安全保障戦略などの安保関連3文書の改正の意味を「日本が台湾海峡の平和と安定に本格的に寄与するという意思を明らかにしたもの」だと説明した。日本国内でも、戦後70年あまり維持されてきた「専守防衛原則(日本の武力は防衛のためだけに使用されるという原則)」からの「大きな変化」がなされたと評されているこの決定の核心目標は、「北朝鮮に対する攻撃」ではなく「中国けん制」だとの見解を明らかにしたのだ。その一方で、コミュニケーションの重要性が高まったとしつつ、「可能なら日韓、日米韓の外相と国防相が参加する『2+2会議』を開始するのも良い」と強調した。最近の安保状況の変化に対する日本の主流社会の見解をよく示すこのインタビューは、13日に道下教授の研究室で行われた。

-敵基地攻撃能力の保有、防衛費の倍増など、約70年ぶりに日本の安保政策の枠組みが大きく変わった。この改正は何を意味するのか。

 「日本は台湾海峡の平和と安定に本格的に貢献するという意思を明らかにしたものだ。自衛隊は米軍と一層緊密に協力し、中国に対する抑止力を強化することになる。中国は非常に強くなりつつある。国防予算はこの10年間(2012~2021年)で実に72%も増加している。米国はむしろ6.1%減少している。米国がまだ世界1位ではあるものの、インド太平洋地域では軍事バランスが途方もない速度で変わりつつある。この地域での平和と安定を確保するためには、日本もそれだけ役割を果たさなければならない」

-日本の安保政策の転換は東アジアにどのような影響を与えるか。

 「中国から沖縄など日本に到達しうる弾道ミサイルは、少なくとも1000発を超える。スピードも速いため、10分もあれば日本に落ちる。日本が保有しようとしている米国製のトマホークや、自衛隊が射程距離の改良を進めている12式地対艦誘導弾などの長距離巡航ミサイルは速度が遅く、弾頭の重量も軽い。十分ではないが、台湾海峡で(日米同盟と中国との)軍事バランスを保つ一助となると思う」

-日本は敵基地攻撃を米軍と共同で運用する予定だ。日米が判断すれば、日本は直に北朝鮮を攻撃しうる。韓国にとっては大きな負担だ。

 「だからこそ日韓、日米韓の緊密な対話が是非とも必要だ。可能なら外相と国防相が参加する2+2会議を開始するのも良い考えだ。朝鮮半島と台湾海峡の安保はつながっている。日米同盟は、朝鮮半島と台湾海峡という2つの脅威に同時に向き合わなければならない。そのうえ戦力が北と南に分散しているため、対応は容易ではない。

 特に中国は、台湾海峡で軍事的優位を占めるために朝鮮半島危機を作り出しうる。かつて中国は北朝鮮の核・ミサイル開発を快く思っていなかったが、最近は米中対立が激しくなっているうえ、台湾問題があるため、状況は異なる。多少のリスクはあるだろうが、北朝鮮を強くした方が有利だと判断しうる。最も懸念されるのは、中国が軍事支援を行うこと。朝鮮半島の危機が高まれば、中国はその時を台湾侵攻のチャンスだと考える可能性もある。朝鮮半島で紛争が発生すれば、北朝鮮に対応するのは主に米韓で、日米は中国が台湾を攻撃しないよう南西に戦力を展開することになるだろう。韓国が要請しない限り、日本がわざわざ北朝鮮攻撃作戦に参加する可能性は高くない」

-相次ぐミサイル発射、7回目の核実験の可能性など、北朝鮮の状況は穏やかではない。

 「率直に言って、軍事衝突の可能性のみをみれば、台湾より朝鮮半島の方が危険だ。南北ともに攻撃力が強いため、刀を持って向かい合っている感じだ。日米韓の対北朝鮮政策は容易に一致しないが、最近は状況が少々特異だ。圧力が必要だというコンセンサスが形成されているため、当面は対話は難しそうだ。7回目の核実験の阻止は難しいだろう。北朝鮮の核実験は爆発力が上がり続けているが、今度は小型の戦術核兵器ではないかと注意深く見守っている」

-大々的な軍備拡充は「抑制力」のためだと日本は言っているが、かつて侵略と植民地支配を受けた韓国では懸念する視線がある。

 「今の日韓を比べると、韓国の方がはるかに攻撃兵器を多く持っている。国防予算も大きな差はなく、日本が国内総生産の1%水準なら、韓国は2.8%を占める。この10年間で韓国は国防予算が43%も増えた。日本の増加は18%だ」

-中国に対する外交努力は必要ではないか。

 「米国をはじめ国際社会は長い間、中国に対する外交的努力を行ってきた。中国が責任を持って国際社会の一員になることを期待したが、中国はその間に軍事力を途方もなく強化した。外交的努力は必要だが、軍事力によって担保されない外交は影響力がない。中国にとっては、自分たちが強ければ協力する理由はない」

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1072154.html韓国語原文入力:2022-12-19 08:00
訳D.K

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