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日本政府の有識者会議「敵基地攻撃能力は不可欠」…戦後の安保戦略一変させるか

登録:2022-11-23 06:26 修正:2022-11-23 08:49
外交・安全保障分野の有識者会議、最終報告書を岸田首相に提出 
今年末までに報告書に基づき国家安保戦略を改定
「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の座長の佐々江賢一郎元外務次官が22日、防衛力強化のための最終報告書を岸田文雄首相に手渡している=首相官邸ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 中国の浮上による国際秩序の変化と北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するため、日本が戦後70年間維持してきた安全保障政策の大きな枠組みを変える方針を決めた。日本政府の有識者会議は22日、日本が厳しい安全保障環境を克服するためには、中国・北朝鮮など周辺国を打撃できる「敵基地攻撃能力」(反撃能力)を確保するなど防衛力を根本的に強化し、これに必要な財源確保のために増税が必要であるという内容を骨子とする最終報告書を提出した。岸田文雄首相はこの報告書をもとに、今年末までに日本の外交・安保政策の方向性を盛り込んだ国家安全保障戦略を改定することになる。

 岸田首相は同日午前、東京首相官邸で佐々江賢一郎元外務次官と面会し、21ページにわたる「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」最終報告書を手渡された。岸田首相は「与党と相談しながら政府としての検討を進めていく」と述べ、佐々江氏は「防衛力の抜本的な強化が何より重要だ。積極的に進めてほしい」と応えた。

 同報告書には、現在の国際情勢の変化を眺める日本の切迫した状況認識と、これに対応するための独自の解決策が盛り込まれている。報告書は、中国の国力拡大を意味する「インド太平洋におけるパワーバランスの変化」と、北朝鮮の核・ミサイル脅威の拡大を意味する「周辺国等による変則軌道のものを含む相次ぐミサイル発射」を日本が直面した安全保障上の脅威として示し、これに対抗するためには日本の防衛力を「5年以内に抜本的に強化しなければならない」と提言した。5年後の2027年は、中国の人民解放軍建軍100周年になる年だ。

 報告書はまず、中国を念頭に「他国による侵攻の抑止や阻止、排除を行い得る防衛力の構築」が必要だとし、スタンド・オフ(遠距離)防衛能力▽領域横断作戦能力▽持続性・強靭性の向上など7つの対応項目を挙げた。また、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するためには、平和憲法が規定した「専守防衛」原則に反するとして議論になっている「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保有が「不可欠」だと提言している。変則軌道のものを含むミサイルなど「周辺国等」(事実上、北朝鮮)の核・ミサイル能力が急速に増強されたとし、「我が国の反撃能力の保有と増強が抑止力の維持・向上のために不可欠だ」と指摘した。この能力を確保するためには、国産のスタンド・オフミサイルの改良等(12式地対艦ミサイルの射程200キロメートルから1000キロメートルに延長)や外国製のミサイルの購入(射程1500キロのトマホーク巡航ミサイル)などが必要だとし、「今後5年を念頭にできる限り早期に十分な数のミサイルを装備すべき」と提言した。

 有識者会議は、これに必要な財源確保のために自民党のタカ派が主張する国債発行の代わりに増税が必要だと強調した。彼らは防衛力の抜本的強化のためには「安定した財源の確保」だとしたうえで、「歳出改革の取組を継続的に行うことを前提として、なお足らざる部分については、国民全体で(防衛予算の増加分を)負担することを視野に入れなければならない」とし「幅広い税目による負担が必要」だと提言した。法人税だけでなく、一般国民が負担する所得税の引き上げを呼びかけたものとみられる。日本政府は現在、国内総生産(GDP)の1%水準である防衛費を5年以内に約2%に増額する案を進めている。

 この日最終報告書を提出した有識者会議は、佐々江元事務次官、船橋洋一元朝日新聞主筆など外交・安保・経済・マスコミ分野など10人で構成されている。9月末から今月21日まで4回にわたって会議を行い、最終報告書をまとめた。岸田総理は「年末までに必要な防衛力の内容とそのための予算規模および財源確保など、一体的かつ強力に検討し結論を出す」とし、「今回の報告書が議論において重要なアドバイスを与えてくれるものと確信している」と述べた。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1068447.html韓国語原文入: 2022-11-22 22:31
訳H.J

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