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米外交問題評議会会長、「北朝鮮の核軍縮の見返りに制裁緩和を進めるべき」

登録:2022-10-21 06:30 修正:2022-10-21 07:05
北朝鮮が今月10日に公開した金正恩国務委員長がミサイル発射を視察する姿/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 米国の外交問題評議会会長が、直ちに北朝鮮の完全な非核化を進めるよりは、制裁緩和の見返りに核軍縮交渉を進めるべきだと提案した。北朝鮮の非核化の敷居がさらに高くなったと見られる中、「現実論」が提起されている。

 米外交問題評議会のリチャード・ハース会長は19日、評議会のホームページに寄稿した「新しい核兵器時代」で、今は「核兵器の膨張、核兵器の顕著な地政学的役割の強化、より多くの国家の核保有努力という新しい時代への転換点」という認識を示した。

 ハース会長は「北朝鮮は核兵器庫を拡大する間、安全な状態だった」とし、北朝鮮が簡単に核兵器を手放す可能性はないと見通した。そして、「引き続き完全な非核化を目標にすべきだが、同時に米国、韓国、日本は制裁を縮小する代わりに北朝鮮の核兵器やミサイルシステムを制限する軍縮を提案する必要がある」と主張した。また、米国は韓日と緊密な同盟関係を維持しなければならず、これは北朝鮮だけでなく中国の核武装状況と関連しても必要だとし、そうしなかった場合は韓日が核兵器放棄宣言を再考する可能性があると説明した。

 ハース会長は、ウクライナ戦争が北朝鮮の核兵器放棄をさらに難しくし、他の国々も核武装の誘惑を感じさせているという見解を示した。核兵器放棄の見返りに安全を保証されたと思っていたウクライナがロシアに何度も侵攻されたのを見て、核兵器が安全保障の主軸であるという認識が強まったという説明だ。またロシアが核兵器使用の脅しで米国のウクライナに対する直接的な軍事介入を遮断するような姿も「核兵器タブー」を弱めていると分析した。さらに「中国と他の国々にとってウクライナの状況は、相当な水準の核保有庫は米国の攻撃意志を遮断し、少なくともさらに自制させるとみなす根拠になるだろう」と見通した。

 ハース会長は、ロシアに関しては、戦術核の使用もあり得るという脅しは効果がないことを示すため、西欧がウクライナへの支援を続けるべきだと主張した。また、ロシアとの核兵器削減協定の延長に中国を引き入れる一方、イランには外交的・軍事的圧力を同時に加えることを提案した。

 このように米国の「条件のない対話」提案が受け入れられず、北朝鮮の核・ミサイルの高度化だけが進む状況で、米国の民間専門家の間では「現実的」な解決策に切り替えるべきという意見が頭をもたげている。ハース会長の提案は、彼が率いる米国外交問題評議会が政官界や学界などの外交エリートを網羅する組織という点で重みがある。

 13日にはミドルベリー国際研究所のジェフリー・ルイス教授(ジェームズ・マーティン不拡散センター 東アジア不拡散プログラム部長)がニューヨーク・タイムズ紙に「北朝鮮の核保有を受け入れる時」という題の文を寄稿した。ルイス教授は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が先制攻撃を取り上げるなどの状況で、北朝鮮指導部は生存のためにも核兵器を放棄しないという見通しを示した。

 ルイス教授は北朝鮮を核保有国と認め、関係改善を通じて緊張のレベルを下げるべきだと主張した。また「米国は核開発を容認できないと宣言する以外は何もしていない」とし、「これからは損失を減らし、現実を直視することで、朝鮮半島における戦争のリスクを低減しなければならない」と主張した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1063504.html韓国語原文入:2022-10-21 02:48
訳H.J

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