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プーチン大統領、併合4州に戒厳令…ウクライナの攻勢に背水の陣

登録:2022-10-20 06:33 修正:2022-10-20 07:48
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が18日、モスクワのクレムリン宮殿でサマラ州のドミトリー・アザロフ州知事に会って会談している/UPI・聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、今月初めにロシア連邦に併合したウクライナ南東部4州に戒厳令を敷く大統領令に署名した。南部ヘルソン州などで続くウクライナ軍の攻勢を防ぐため背水の陣で臨むものとみられる。

 タス、AP通信などは19日、プーチン大統領がドネツク人民共和国(DPR)、ルハンスク人民共和国(LPR)、ヘルソン州、ザポリージャ州など今月初めに併合したウクライナ南部4州に戒厳令を宣布する法令に署名したと報道した。プーチン大統領は同日、テレビで中継されたロシア安全保障会議の冒頭演説で「ロシアの安保と安全な未来を保障し国民を守るため、非常に難しい大規模課題の解決に励んでいる」とし、「戦線にいる、あるいは射撃場と訓練所で訓練を受けている人々は、大きく偉大な祖国と国民が後ろにいることを忘れてはならず、我々の支持を感じなければならない」と述べた。

 同大統領令によると、戒厳令は20日から適用される。署名済みの大統領令草案には、移動の制限、公開集会の制限、さらに厳しくなった検閲が含まれている。また、戒厳令執行機関に広範囲な権限を持たせる内容も含まれている。ロシア上院は4地域に戒厳令を敷くというプーチン大統領の決定を迅速に承認する見通しだと、AP通信は説明した。

 プーチン大統領はその他、ウクライナとの戦闘においてロシアの様々な政府機関の相互作用を円滑にするための調停委員会の設立を命じた。プーチン大統領は「現状況で私はすべてのロシア地域の首長にさらなる権限を与えることが必要だと思う」として、ロシアの州知事により多くの権限を与えることを示唆した。

 プーチン大統領が戒厳令の実施決定を下したのは、不利になった戦況のためとみられる。 ウクライナ戦争を総括するセルゲイ・スロビキン総司令官(56)は18日、国営「ロシア24」とのインタビューで、「ロシア軍が広範囲な圧迫を受けており、難しい選択に直面した。 (ヘルソンの状況は)容易ではない」と認めた。また「ロシア軍は何よりもこの地域の市民の安全な避難を保障する」と語った。

 ロシア空軍・宇宙軍総司令官であるスロビキン氏は8日、ウクライナに対する「特別軍事作戦」を総括する総司令官に任命された。民間人への無差別な攻撃で悪名高いスロビキン氏が総司令官になった直後の10日から、ロシアはキーウなどウクライナ地域の軍事施設だけでなく、電気、水道、通信などインフラに対する攻撃を続けている。しかし、同氏は総司令官任命後の初のテレビインタビューで、「敵(ウクライナ軍)が引き続きロシア軍への攻撃を狙っている」とし、「ヘルソンに関する追加の行動や計画は今後の状況にかかっているが、容易ではない。 難しい決定を排除せず、適期を見計らって行動する」と述べた。

 スロビキン氏はこの日、「難しい決定」とは何なのかについては具体的に説明しなかった。英国の「ガーディアン」はこの発言が「ロシア軍が直面した困難を認めたもの」だとし、「ただし、同氏がヘルソン地域からのロシア軍の撤退を暗示したのか、あるいは新しい空襲があるのかは明確ではない」と報じた。

 ヘルソン州はロシアがウクライナに侵攻した直後の3月初めに占領した後、今月初めに併合した地域だ。特に2014年3月に強制併合したクリミア半島と陸路でつながっており、戦略的な重要性が非常に高い。

 しかし、ウクライナ軍が最近「高機動ロケット砲システム」(HIMARS)などを活用して攻勢を強め、ロシア軍は守勢に立たされている。ロシアが任命したヘルソン州の責任者、ウラジーミル・サルド氏は13日、住民に避難を勧告し、19日にはオンライン動画声明でドニプロ川の西側から東側へ「ボートを通じた避難が始まった」とし、今後6日間、毎日約1万人の住民がヘルソンを離れると予想した。

キム・ミヒャン、チョ・ヘヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1063442.html韓国語原文入:2022-10-2002:42
訳H.J

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